セッション情報 口演

肝画像

タイトル O-089:

Shear Wave Elastographyによる肝硬度測定の意義

演者 濱田 晃市(総合南東北病院消化器科)
共同演者 斎藤 聡(虎の門病院肝臓科), 西野 徳之(総合南東北病院消化器科)
抄録 【目的】線維化評価法として,超音波による剪断弾性波を測定するElastographyにはTransient Elastography(TE)とVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)及びShear Wave Elastography(SWE)があり,SWEは超音波ビームを連続照射,組織内に異なるfocusを形成し,Ultra Fast Imagingにて数千以上のframe rateで剪断波速度または弾性値をカラーコードマップで表示し,TEやVTTQより広範囲の肝実質の硬度が測定可能である.Bモード検査と併用下に,SWEにより肝硬度測定を行い,臨床的な意義を検討した.【対象と方法】対象は正常肝158例と各種慢性肝疾患494例.内訳は脂肪肝72例,慢性肝炎318例,肝硬変104例,男女比257:237,B型63例,C型243例,NASH16例,AIH4例,PBC13例,PSC1例,アルコール54例,その他100例.使用装置はAixplorer,肝硬度は脈管や腫瘍等の構造物を避け,右肋間で体表より深度3.5cmに直径1cmのROIを設定し,3回測定し中央値とした.血液線維化マーカーとも比較した.【成績】1.SWEによる肝硬度:測定は全例で可能.正常肝は4.9±1.0kPaで正規分布,年齢・性別による差は無く,基準値は3.4~6.4kPaとなった.脂肪肝中央値5.1(3.1-48)kPa,慢性肝炎6.3(2.0-23.8)kPa,肝硬変18(4-158)kPaで肝硬変は有意に高値(p<0.001).2.血液マーカーとの比較:肝硬変検出能に関し,AUROCはSWE 0.93,APRI 0.78,FIB-4 0.88.Cut off値12kPaでは感度91%,特異度91%,陽性的中率74%,陰性的中率98%.3.合併症の検討:肝癌合併率は10kPa以下0.02%,10~19kPa13%,19kPa超41%.食道静脈瘤ありと門脈大循環シャントありのcut off値をそれぞれ15/16kPaとすると感度81%/80%,特異度88%/91%,陽性的中率61%/70%.脾臓に対するSWEは現在検討中である.【結語】SWEはBモード画像・カラーマップ表示が可能で,確実に肝実質のみを測定出来,NASHを含めた慢性肝疾患の拾い上げ及び肝硬変の鑑別に有用であり,門脈圧亢進症・肝癌の合併のリスクの把握にも有用であった.
索引用語