セッション情報 口演

門脈圧亢進症

タイトル O-091:

C型肝硬変を合併した血友病患者に対する内視鏡的食道胃静脈瘤治療

演者 石津 洋二(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 片野 義明(名古屋大学消化器内科学), 今井 則博(名古屋大学消化器内科学), 阿知波 宏一(名古屋大学消化器内科学), 荒川 恭宏(名古屋大学消化器内科学), 山田 恵一(名古屋大学消化器内科学), 中野 聡(名古屋大学消化器内科学), 増田 寛子(名古屋大学消化器内科学), 葛谷 貞二(名古屋大学消化器内科学), 本多 隆(名古屋大学消化器内科学), 林 和彦(名古屋大学消化器内科学), 石上 雅敏(名古屋大学消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 <目的>血友病患者に対する観血的処置は予防的な凝固因子製剤の投与により対応可能である.しかし肝硬変にともなう食道胃静脈瘤に対する内視鏡治療の出血リスクについての報告は少ない.そこで今回我々は当院にて治療を行ったC型肝硬変合併血友病患者に対する内視鏡的食道胃静脈瘤治療について治療後の合併症について評価を行った.<対象>血友病A 5例,血友病B 2例(1例インヒビター陽性)に対し,計16回入院,延べ19回治療を施行した(緊急治療8回,待機治療11回).治療内容はEVL17回,EIS2回(うち1回はヒストアクリル).入院時の平均年齢48.9歳,平均Child-Pugh score 8.6,APTT 40.6%,血小板5.3万/ml.凝固因子の補充に関しては,血友病ガイドラインに従い,治療前に予測APTTが100%となるように凝固因子製剤を投与し,その後1~2週間もしくは内視鏡的に出血のリスクがないと判断するまでAPTT値を参照に適宜補充を行った.<結果>治療後出血は5回(26%)に認められた.その内訳は,3回はEVL後潰瘍からの出血で,発症までの期間は12日,12日,18日であった.ただいずれも潰瘍底からのoozingであり,凝固因子製剤の追加のみで止血可能だった.その他はヒストアクリルによるEIS後の出血が1例(初回治療後2日後に出血.ヒストアクリルによる再治療施行.ただその後肝不全にて死亡),EVL後38日目に新たな静脈瘤からの出血に対し,追加EVLを行った症例が1例だった.<考察>C型肝硬変合併血友病患者における内視鏡的食道胃静脈瘤治療では,術後の再出血の頻度がやや高かった.またその特徴として,治療後2週間前後に生じるEVL後の潰瘍底からのoozingが挙げられる.しかし再出血に対しても,凝固因子の補充,追加治療により十分対応可能であった.
索引用語