セッション情報 口演

門脈圧亢進症

タイトル O-093:

直腸静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法

演者 佐藤 隆啓(札幌厚生病院消化器科)
共同演者 山崎 克(札幌厚生病院消化器科), 木村 睦(札幌厚生病院消化器科), 豊田 成司(札幌厚生病院消化器科), 狩野 吉康(札幌厚生病院消化器科), 髭 修平(札幌厚生病院消化器科), 大村 卓味(札幌厚生病院消化器科), 小関 至(札幌厚生病院消化器科), 桑田 靖昭(札幌厚生病院消化器科), 荒川 智宏(札幌厚生病院消化器科), 中島 知明(札幌厚生病院消化器科)
抄録 (目的)門脈圧亢進症にみられる直腸静脈瘤は時に大出血をきたす危険性のある病態である.今回,直腸静脈瘤に対し,内視鏡的硬化療法(EIS)を施行した症例の患者背景,治療成績,問題点について検討した.(対象,方法)EISを施行した39例(男性16例,女性23例)を対象とした.下血がみられた症例,あるいは内視鏡所見でhigh riskと診断した症例が治療対象となった.基礎疾患はLC 20例,LC+HCC 10例,PBC 3例,EHO 1例,IPH 4例,骨髄繊維症1例であった.EISは透視下で5%EOIを硬化剤として使用し少量ずつ間歇的に注入した.静脈瘤内注入を原則とし症例により装着バルーンを使用し静脈瘤が消失するまで繰り返し施行した.(結果)食道静脈瘤に対する治療歴は39例中36例に認められ,治療歴がない3例においては上部内視鏡検査でRCサイン陽性の食道静脈瘤が観察された.直腸静脈瘤の内視鏡所見はF2 30例,F3 9例(最近1年以内に治療した7例中5例はF3)で39例全例にRCサインあるいは発赤,びらんが観察された.肝予備能はChild-Pugh A 16例,B 21例,C 2例であった.下血がみられた症例は21例,予防治療例は18例であった.EISの施行回数は1-5回(平均2.7回),5%EOIの使用量は0.6-20.5ml(平均6.1ml)であった.治療後,2例で潰瘍から少量の出血を認めたが,保存的に改善した.門脈血栓などのその他の合併症は認めなかった.経過観察期間は1-66ヶ月で再発率は8/39(20.5%)で最近,直腸静脈瘤再々発症例でF0再発を経験した.一方,出血再発は腎不全で透析を行なっている1例のみであった.(結論)直腸静脈瘤に対するEISの有用性,安全性が示唆された.手技の点では大きな静脈瘤では装着バルーンを使用し透視下で5%EOIを少量ずつ間歇的に注入するのが重要である.直腸静脈瘤治療における問題点は再発率が高いことで門脈圧亢進症が高度である症例が多いこと,直腸においては地固め療法を行なっていないことなどが挙げられる.
索引用語