セッション情報 口演

門脈 他

タイトル O-095:

脾臓摘出術後,門脈血栓症の発生リスクに関する検討

演者 飯田 洋也(明和病院外科)
共同演者 相原 司(明和病院外科), 生田 真一(明和病院外科), 吉江 秀範(明和病院外科), 別府 直仁(明和病院外科), 小野 朋二郎(明和病院外科), 友松 宗文(明和病院外科), 前田 晃宏(明和病院外科), 堀尾 勇規(明和病院外科), 竹中 裕也(明和病院外科), 後野 礼(明和病院外科), 岸本 昌浩(明和病院外科), 木村 文彦(明和病院外科), 柳 秀憲(明和病院外科), 山中 若樹(明和病院外科)
抄録 (目的)肝硬変による血小板の低下に対し,インターフェロン投与目的に脾摘を行う場合がある.また,血小板の低下している肝細胞癌の患者には,肝細胞癌の手術と同時に脾摘を行う場合がある.脾摘後の合併症の一つに門脈血栓があり,これによって長期間熱発が続いたり,もし完全に閉塞した場合は肝不全の可能性もある.今回,脾摘後の門脈血栓の発生に寄与する因子を同定することを目的とした.(方法)2003年4月から2012年3月末まで,肝硬変によって血小板の低下を認める症例に対し脾摘を施行した28例を対象とした(肝細胞癌合併症例を含む).術後1~2週目に腹部造影CTを施行し,門脈内の血栓有無を確認した.術後門脈血栓あり群(n=11),門脈血栓なし群(n=17)の2群間で各種パラメータを比較した.検討にはMann-whitney U test,Chi-square test,Cox-proportional hazards modelを用いた.(結果)術前の血小板数が,門脈血栓あり群で5.0±1.8(X104/μl),門脈血栓なし群で7.4±2.4で有意差を認めた(p=0.009).肝細胞癌非合併症例では,術後の門脈血栓が有意に多かった(p=0.01).また,術前の脾臓容量が,あり群で871±373(ml),なし群で391±208で有意差を認めた(p=0.0001).多変量解析では,術前の脾臓容量のみが有意な因子であった(p=0.007,Odds ratio 7.45,95% CI 1.68-51.76).ROC分析を用いると,術前脾臓重量が448mlで感度100%,特異度82%であった.(結語)少数例の検討ではあるが,脾臓摘出後の門脈血栓の発生に寄与する因子は,術前の脾臓容量である.
索引用語