セッション情報 口演

門脈 他

タイトル O-096:

保存的治療が可能であった門脈ガス血症の検討

演者 鹿野 敏雄(市立四日市病院外科)
共同演者 森 敏宏(市立四日市病院外科), 桑原 好造(市立四日市病院消化器内科), 水谷 哲也(市立四日市病院消化器内科), 小林 真(市立四日市病院消化器内科), 矢野 元義(市立四日市病院消化器内科)
抄録 【緒言】門脈ガス血症はそれ自体が独立した疾患ではなく,腸管壊死などの重篤な疾患の際に認められる比較的稀な病態で,緊急手術が必要な徴候とされてきた.しかし最近では,保存的治療で軽快した門脈ガス症例の報告も増加しており,多彩な病因で起こる病態であることが再認識されつつある.今回,当院で経験した保存的治療が可能であった門脈ガス症例について検討した.【方法】2007.1.1から2011.12.31までの84カ月間,当院のCT検査で診断され門脈ガス症例は19例であった.悪性疾患の終末期像であった2例を除く17例のうち,保存的治療が可能であった症例は8症例であった.これら保存的治療が可能であった症例と,手術が必要であった9例を比較検討した.【結果】保存的治療が可能であった症例は,腸閉塞6例,腸管気腫性嚢胞1例,胆嚢炎1例であった.手術が必要であった症例は,SMA血栓症,NOMIがそれぞれ3例,腸管感染症,大腸穿孔,糞便イレウスによる腸管壊死がそれぞれ1例であった.保存的治療が可能であった症例と手術が必要であった症例を比較したところ,腹水の有無,門脈ガスの多寡,白血球数,CRP値には有意な差を認めなかったが,腹膜刺激症状の有無のみに有意差を認めた.【結語】救急の現場にCTが汎用されるようになり,今後ますます門脈ガス症例の頻度が増加していくものと考えられる.門脈ガス血症は多彩な病因に基づく病態であり,最も重篤な病因と考えられる腸管壊死症例については手術が必須であるが,それ以外の症例については保存的治療が可能である.
索引用語