セッション情報 口演

門脈 他

タイトル O-097:

腸管気腫症に門脈ガス血症を合併した5例の検討

演者 真下 勝行(馬場記念病院消化器科)
共同演者 原 順一(馬場記念病院消化器科), 山村 匡史(馬場記念病院消化器科), 鋳谷 成弘(馬場記念病院消化器科), 平田 直人(馬場記念病院消化器科), 河内屋 友宏(馬場記念病院消化器科), 豊川 貴弘(馬場記念病院外科), 寺岡 均(馬場記念病院外科), 荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科)
抄録 【背景・目的】門脈ガス血症(PVG)は画像検査の進歩により近年報告数が増加している.以前は腸管壊死に伴う症例が多く,死亡率も高いことから予後不良の指標とされてきた.しかし最近は腸管壊死を伴わない報告例も多く,必ずしも緊急手術を要する病態ではないと考えられている.一方,腸管気腫症(PCI)も壊死を含めた腸管損傷に関与する徴候とされ,腸管壊死が疑われる場合のみが手術適応となる.門脈ガス血症と腸管気腫症の両者はしばしば合併することが知られる.合併する場合は高率に腸管壊死を伴うとする報告が多い.今回我々は平成23年1月から平成24年8月までの間で両者を合併した5例を経験し,検討を行った.【結果】平均年齢は79.6才.2例に強い腹痛を認めた.3例は脳梗塞後遺症等などのため意思疎通が不可能であり嘔吐や発熱が主訴であった.腹膜刺激所見は2例に認めた.CRP値は0.25~25.1,LDHの上昇は軽度もしくは正常,CPKの上昇例は認めなかった.アシドーシスは4例に認めたが軽度であった.腹水は4例に認めた.造影CTは3例に施行された.外科手術は4例に施行された.その中で,腸管切除は3例に必要であった.原因疾患は非閉塞性腸管虚血症(NOMI)2例,絞扼性イレウス1例であった.1例は軽症のNOMIであり,腸管切除を要さず,試験開腹のみで終了した.保存的治療を選択した1例を含め,全例が救命できた.【考察・結論】腸管気腫症に門脈ガス血症を合併する症例においては,壊死性疾患の頻度が高いとする諸家の報告とほぼ同様で,当院でも60%と高率であった.門脈ガス血症は前述のとおり比較的多く認められるが,その際,腸管気腫の合併に注意し,合併する場合は特に腸管壊死の存在を疑って厳重に対処する必要があると思われた.文献的考察を加えて報告する.
索引用語