セッション情報 口演

門脈 他

タイトル O-099:

当院における症候性肝嚢胞に対する治療成績

演者 坂谷 彰彦(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科)
共同演者 土井 喜宣(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 北山 聡明(国家公務員共済組合連合会大手前病院放射線科), 笹井 保孝(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 西田 直浩(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 阪本 めぐみ(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 上ノ山 直人(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科), 松田 高明(国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器内科)
抄録 【はじめに】腹部超音波,CT検査など画像検査の普及により近年肝嚢胞の発見頻度が上昇している.肝嚢胞はサイズが増大し周辺臓器を圧排することで症状を呈した場合や,感染や出血をきたした場合には治療が必要となる.今回われわれは症候性肝嚢胞に対し超音波ガイド下穿刺排液,エタノール注入法を行い,その治療効果を検討した.
【対象と方法】対象は2005年から2012年までに腹部超音波検査もしくはCTで肝嚢胞と診断した患者のうち,経過観察中に肝嚢胞のサイズ増大を示し食思不振や腹部膨満などの症状を有した5例(男性2例,女性3例).うち4例には超音波ガイド下穿刺排液を施行した.4例の平均嚢胞径は119.45(107.68-126.66)mm,4例中3例が多発性嚢胞で1例が単発性嚢胞であった.いずれも腎嚢胞の合併は見られなかった.穿刺は経皮経肝的に超音波ガイド下・レントゲン透視下に行い,ピッグテールカテーテルを挿入・留置した.以降持続ドレナージを施行し,排液が1日100ml以下に減少した後,嚢胞にエタノールの注入を行った.1回注入量は嚢胞のサイズに応じて15-30mlとし,投与後に可及的に排液した.エタノール注入は1回のみとした.残りの1例(男性)は経過観察中に自然破裂をきたし保存的に治療した.破裂前の嚢胞径は157.6mmであった.
【成績】カテーテルの留置期間は平均6.5日(5日-7日)で,いずれの症例もカテーテル留置中に感染などの大きな合併症なく経過し,自覚症状も術直後から改善見られた.以降,外来にて経過観察しているが,治療から6ヶ月後以降に施行した腹部CTでは全例縮小を認めた.自然破裂した1例については保存的治療により軽快した.
【結論】サイズの増大傾向を示す症候性肝嚢胞に対してはドレナージ術,エタノール注入量法を積極的に考慮すべきであると考えられた.
索引用語