セッション情報 口演

食道 ESD

タイトル O-102:

当院におけるMM-SM1食道癌に対するESDの治療成績

演者 鶴留 一誠(名古屋大学消化器内科学)
共同演者 宮原 良二(名古屋大学消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学光学医療診療部), 古川 和宏(名古屋大学消化器内科学), 山本 富美子(名古屋大学消化器内科学), 松崎 一平(名古屋大学消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大学光学医療診療部), 中村 正直(名古屋大学消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大学消化器内科学), 伊藤 彰浩(名古屋大学消化器内科学), 大宮 直木(名古屋大学消化器内科学), 廣岡 芳樹(名古屋大学光学医療診療部), 渡辺 修(名古屋大学消化器内科学), 前田 修(名古屋大学消化器内科学), 安藤 貴文(名古屋大学消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学消化器内科学)
抄録 【目的】MM-SM1食道癌に対するESDはリンパ節転移の可能性があり,追加治療の検討が必要である.しかし相対適応病変の長期予後は明らかでなく,追加治療の適応に悩む症例も多い.今回我々は相対適応病変に対するESDの妥当性を検討した.【対象と方法】2006年6月から2011年9月までに当院にてESDを施行した食道扁平上皮癌のうちSM2を除く70症例86病変(EP-LPM 75病変・MM-SM1 11病変)を対象とし,治療成績・予後を検討した.相対適応病変のうち脈管侵襲陽性またはINFcや垂直断端陽性を高リスク群とし,追加治療を勧めている.【成績】一括切除率・偶発症は適応病変93.3%・8.5%,相対適応病変100%・0%であった.転移再発は適応病変1例(1.3%),相対適応病変1例(9.1%)に認めた.1例はLPM,断端陰性,脈管侵襲陰性であったが,40ヶ月後にリンパ節再発を認めた.もう1例は深達度MM,断端陰性,脈管侵襲陽性で高リスク群であったが,経過観察を希望され,48ヶ月後にリンパ節再発を認めた.異時性多発は適応病変7例(11.7%),相対適応病変2例(18.2%)に認めた.死亡は適応病変2例(3.9%),相対適応病変1例(9.1%)に認めた.相対適応病変は低リスク群が7例,高リスク群が4例であった.低リスク群は全て経過観察し,再発を認めなかった.高リスク群は1例で化学療法を行い,その他の3例は患者希望で経過観察し,上記の転移再発を1例に認めた.予後追跡率は87.1%,観察期間は26(0.5‐72)ヶ月であり,3年生存率・無増悪3年生存率は適応病変95.5%・86.4%,相対適応病変83.3%・66.7%であった.【結論】相対適応病変に対して安全にESDを行うことが可能であったが,高リスク群からは転移再発が見られ,全身状態や基礎疾患を考慮した上での追加治療が必要である.転移再発は3年を過ぎて発見されることもあり,定期的かつ長期の経過観察が必要である.
索引用語