セッション情報 口演

食道 治療

タイトル O-106:

食道癌個別化化学療法:新規抗癌剤効果予測マーカーの同定と臨床効果予測モデルの確立

演者 麓 祥一(Karolinska Institutet・Department of Cell and Molecular Biology)
共同演者 西山 正彦(群馬大学病態腫瘍制御学講座・病態腫瘍薬理学分野), 野口 剛(大分大学医学部附属地域医療学センター・外科分野)
抄録 【目的】本研究では,数理モデルに基づく新規マイクロアレイデータ解析法(二値化)の応用により,新規抗癌剤効果予測マーカーを抽出,抽出遺伝子群を用いた予測性の高い臨床効果予測モデルを設定することにより,効率的な食道癌化学療法の確立を目指す.【方法】ヒト食道扁平上皮癌細胞株20株を用いた網羅的遺伝子発現解析及び二値化に基づく新規データ解析法と抗癌剤感受性試験により,新規抗癌剤効果予測マーカーを抽出する.さらに,抽出遺伝子について,強制発現系実験による抗癌剤効果規定遺伝子としての有用性を検証する.また,5-FU/CDDP療法を施行された食道癌臨床検体における臨床効果予測モデル(無病生存期間)を設定,テストサンプルを用い,前手法(cDNAとoligonucleotide microarrayの組み合わせ)による効果予測モデルとの有用性を比較検討する.【結果】新規抗癌剤効果予測マーカーとして,5-FUについては,CARD8TMUB2EMX2の3遺伝子,CDDPについては,FAM188ACCDC90BTARBP1TTYH2IFITM1MARK1の6遺伝子が抽出された.その内,複数の遺伝子については,抗癌剤効果規定遺伝子としての機能も証明された.一方,前手法で抽出された遺伝子群を用いた臨床効果予測モデルに比し,新規抽出遺伝子群を用いた効果予測モデルは,予測性,相関性の高いモデルの設定に至り,テストサンプルにおいてもその有用性が確認された.【結論】本研究により,新規抗癌剤効果予測マーカーの同定に数理モデルに基づく新規マイクロアレイデータ解析法(二値化)が有用であり,さらに,それら抽出されたマーカー遺伝子群を用いた臨床効果予測モデルは,食道癌個別化化学療法の確立に貢献することが期待された.
索引用語