セッション情報 口演

食道 治療

タイトル O-107:

ROS刺激下流の新規分子マーカー,apurinic/apyrimidinic endonuclease-1(APE-1)を用いた食道癌進展および化学療法感受性の解析

演者 名児耶 浩幸(日本医科大学付属病院消化器内科)
共同演者 二神 生爾(日本医科大学付属病院消化器内科), 河越 哲郎(日本医科大学付属病院消化器内科), 山脇 博士(日本医科大学付属病院消化器内科), 小高 康裕(日本医科大学付属病院消化器内科), 新福 摩弓(日本医科大学付属病院消化器内科), 堀江 茜(日本医科大学付属病院消化器内科), 川見 典之(日本医科大学付属病院消化器内科), 岩切 勝彦(日本医科大学付属病院消化器内科), 飯泉 匡(日本医科大学付属病院消化器内科), 星原 芳雄(経済産業省診療所), 牧野 浩司(日本医科大学付属病院消化器外科), 宮下 正夫(日本医科大学付属病院消化器外科), 土屋 真一(日本医科大学付属病院病理部), 坂本 長逸(日本医科大学付属病院消化器内科)
抄録 (目的・背景)食道癌発生と進展にはROS刺激が重要な役割を果たしていることは報告されて来たが,食道癌組織におけるROS刺激の下流の分子マーカーに関しては詳細な報告は少ない.以前より我々はROS刺激下流の分子マーカーであるapurinic/apyrimidinic endonuclease-1(APE-1)が食道癌に高率に発現していることを報告して来た.APE-1が食道癌進展と化学療法感受性を反映する有用なマーカーと成り得るか検討した.(方法)食道癌患者65名を対象にAPE-1,COX-2,MCP-1,CCR2,p65,VEGFの免疫染色を行い,その局在および発現様式を検討した.siRNA-APE-1を用いて,APE-1をknockdownした.また,MCP-1刺激により誘導された食道癌cell-line(KYSE220)由来COX-2やVEGF産生量をreal-time PCR法およびELISA法で確認した.さらに,APE-1-siRNA導入下でCDDP(0,1,3,6μl/ml)を添加しKYSE220細胞のapoptotic indexを測定した.(結果)食道癌組織においてAPE-1は核に,COX-2,MCP-1,CCR2,VEGFは細胞質に,p65は双方に発現を認めた.MCP-1刺激ではmRNAレベルでCOX-2の有意な増量を認めた.またAPE-1-siRNA導入下で,MCP-1刺激KYSE220細胞由来VEGF産生量はsiRNA導入なし群に比較して有意に抑制された.またCDDP存在下でAPE-1-siRNA導入するとKYSE220細胞のapoptotic indexはCDDP濃度が3および6μl/mlで有意に増加した.(結論)食道癌組織においてAPE-1は予後規定因子であるCOX-2,MCP-1,VEGFと有意な相関を認めた.APE-1は,食道癌におけるCDDP製剤に対する化学療法の感受性を反映するものとしてさらなる検討が必要と考えるが,今回の結果を通じて予後増悪因子としての可能性を見出した.
索引用語