セッション情報 口演

食道 他

タイトル O-110:

当院における食道カンジダ症の現状

演者 野澤 さやか(横須賀共済病院消化器病センター内科)
共同演者 佐藤 綾子(横須賀共済病院消化器病センター内科), 松田 浩紀(横須賀共済病院消化器病センター内科), 井上 恵美(横須賀共済病院消化器病センター内科), 樺 俊介(横須賀共済病院消化器病センター内科), 小島 直紀(横須賀共済病院消化器病センター内科), 松本 太一(横須賀共済病院消化器病センター内科), 鎌田 和明(横須賀共済病院消化器病センター内科), 伊田 春菜(横須賀共済病院消化器病センター内科), 田邊 陽子(横須賀共済病院消化器病センター内科), 山極 洋子(横須賀共済病院消化器病センター内科), 渡邉 秀樹(横須賀共済病院消化器病センター内科), 新井 勝春(横須賀共済病院消化器病センター内科), 鈴木 秀明(横須賀共済病院消化器病センター内科), 小林 史枝(横須賀共済病院消化器病センター内科), 池田 隆明(横須賀共済病院消化器病センター内科)
抄録 【目的】食道カンジダ症は,口腔内や消化管に常在するカンジダ菌により発症する感染症である.悪性腫瘍,糖尿病などの全身的要因以外に,局所的要因としてプロトンポンプインヒビター(PPI)や吸入ステロイド剤の関与が報告されている.近年,これらの薬剤治療を受ける症例数は増加しており,局所的要因による食道カンジダ症の増加が予測される.そこで今回,局所的要因による食道カンジダ症の実態を明らかにする目的で,当院で診断された食道カンジダ症の臨床像の検討を行った.【方法】2011年の上部消化管内視鏡を施行した例で,食道カンジダ症と診断された症例を抽出し,背景疾患,処方内容を含めた臨床像,および診断後の内視鏡所見の推移を含めた検討を行った.食道カンジダ症の肉眼分類にはKodsi分類を用い,統計学的解析はχ2検定で行った.【結果】1)上部内視鏡施行症例(6813例)の中で,食道カンジダ症と診断された症例は100例(1.5%)であった.2)発症要因として,PPIや吸入ステロイド剤など局所的要因の関与が疑われる症例は30例であった.3)Kodsi分類の1,2の軽症例は91例であった.3,4の中等・重症例は9例で,全例がPPIや吸入ステロイドの長期治療例であった.4)自覚症状を認める頻度は,Kodsi分類の1,2(7.6%)に比較して3,4(55.6%)で有意(P<0.001)に高かった.5)診断後に内視鏡的経過観察が施行された症例は38例(期間9±4ヵ月)であった.ミコナゾールゲルなどの治療を受けた症例8例では1例が,また経過観察のみの症例30例では18例で所見は持続していた.【結論】食道カンジダ症の内視鏡的中等・重症例は,PPIや吸入ステロイド剤治療などの局所的要因の関与が考えられる症例であった.今後,これら処方の増加が予測され,この疾患の推移に対する注意が必要であると考えられた.
索引用語