セッション情報 口演

食道 他

タイトル O-111:

食道アカラシア患者における体重減少の有無と病態との関係

演者 坪井 一人(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科)
共同演者 小村 伸朗(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科), 矢野 文章(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科), 星野 真人(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科), 山本 世怜(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科), 秋元 俊亮(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科), 藤崎 宗春(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科), 高橋 直人(東京慈恵会医科大学外科学講座消化管外科), 柏木 秀幸(東京慈恵会医科大学外科学講座), 矢永 勝彦(東京慈恵会医科大学外科学講座)
抄録 【背景】食道アカラシアは,下部食道括約部の弛緩不全による通過障害を認めるため,十分な経口摂取ができず体重減少をきたすことがある.一方,つかえ感は認めるものの体重減少のない症例も多く存在する.比較的まれな疾患であるため,これまで体重減少の有無と病態との関係については十分な検討がなされていない.【目的】食道アカラシア患者における体重減少と病態との関係を検討する.【方法】1994年8月より2012年7月までに食道造影検査もしくは食道内圧測定検査により食道アカラシアと診断された422例(平均年齢45.0±15.1歳,男:女=221:201)を対象とした.過去に同疾患に対して手術療法がおこなわれている症例は除外した.来院時に2kg以上の体重減少を認めた症例をA群(n=182),体重減少を認めなかった症例をB群(n=240)とし,病態と症状スコアを比較検討した.病態評価のうち,食道造影検査からは拡張型および拡張度およびTimed barium esophagogramによる食道クリアランスの程度,食道内圧検査からは下部食道筋(LES)圧,LES長および嚥下によるLES弛緩率について調査した.症状では,つかえ感,胸痛,嘔吐,胸焼けに対して行い,各々頻度,程度ともに5段階評価した.【成績】年齢,性別,病悩期間,バルーン拡張歴に2群間で差を認めなかったが,A群で有意に低BMIであった(p<0.0001).食道内圧検査と食道造影検査の各パラメータに差は認めなかった.症状スコアでは,嘔吐のみにおいて頻度,程度ともにA群で高スコアであった(各p<0.0001,p=0.0067).【結論】体重減少をきたす食道アカラシア患者では,嘔吐症状のみが高度に認められたが,その他の症状,病態や食道機能などで特徴的となる所見は認められなかった.
索引用語