セッション情報 口演

膵癌 治療

タイトル O-117:

膵癌非切除例に対する放射線化学療法の検討

演者 板倉 淳(山梨大学第1外科)
共同演者 渡邊 光章(山梨大学第1外科), 細村 直弘(山梨大学第1外科), 牧 章(山梨大学第1外科), 雨宮 秀武(山梨大学第1外科), 川井田 博充(山梨大学第1外科), 河野 寛(山梨大学第1外科), 藤井 秀樹(山梨大学第1外科)
抄録 目的:当科では膵癌非切除例に対して,遠隔転移がない場合は試験開腹時に術中照射を施行し,非開腹例ではgemcitabine(Gem)併用体外照射を施行してきた.また,2001年よりGemを,2006年よりGem+TS-1を標準化学療法として施行してきた.今回,これらの治療の効果について検討した.対象・方法:1986年10月より2011年3月までに当科で治療を行った非切除通常型膵癌127例を対象に,Gem投与群(G群),Gem+TS-1(GS群),非化学療法(N群)に分け,さらに放射線治療群(RT群)と非放射線治療群(Non群)に分け,予後を検討した.RT群では術中照射は20-25Gy,対外照射は30-56Gy行った.体外照射併用Gemは体外照射施行中に200-600mg/m2/w投与した.G群としてはGem1000mg/m2/week,3投1休で施行し,GS群ではGem1000mg/m2/day1,day8+TS-1 80mg/body/day1-14/3weekで施行した.結果:G群は34例,GS群34例,N群は59例であった.N群,G群,GS群,のMSTと1生率はそれぞれ3.7か月,5.9ヶ月,11.2ヶ月と12.2%,21.9%,39.5%でGS群でN群に比べ有意に生存期間の延長が認められた.また,G群もN群に比べて生存率がよくなる傾向が認められ,さらにGS群はG群に比べて生存率がよくなる傾向が認められた.RT群とNon群それぞれのMSTと1年生存率は8.1か月,4.4か月と31.2%,15.8%とRT群で有意に生存期間の改善が認められた.一方で,GemないしはGem+TS-1が施行された化学療法症例においては,放射線治療群と非放射線治療群では差は認められなかった.考察:膵癌切除不能症例では,全身状態が良好であれば,当初から強力な化学療法であるGS療法を施行する事により生存期間の延長が期待できる.化学療法が施行できる症例でも,放射線による上乗せ効果は期待できない.
索引用語