セッション情報 口演

膵癌 治療

タイトル O-118:

膵癌術後補助化学療法におけるGEM至適投与期間の検討

演者 松原 稔(岡山大学病院消化器内科)
共同演者 小林 沙代(岡山大学病院消化器内科), 榊原 一郎(岡山大学病院消化器内科), 野間 康宏(岡山大学病院光学医療診療部), 山本 直樹(岡山大学病院消化器内科), 原田 亮(岡山大学病院消化器内科), 堀口 繁(岡山大学病院消化器内科), 堤 康一郎(岡山大学病院消化器内科), 加藤 博也(岡山大学病院消化器内科), 那須 淳一郎(岡山大学病院消化器内科), 岡田 裕之(岡山大学病院光学医療診療部), 八木 孝仁(岡山大学病院肝胆膵外科), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科)
抄録 【背景】CONKO-001およびJSAP-2試験によって膵癌における術後補助化学療法の有用性が示されて以来,術後3カ月間もしくは6ヶ月間のゲムシタビン(GEM)による術後補助化学療法が標準治療とされているが,満足のいく成績とは言えない.また,GEM投与期間に対する検討も十分とは言えず,6カ月を超えるGEM投与に対する検証が行われていない.そこで当院では,副作用が軽微で患者の希望があれば,6カ月を超える術後補助化学療法を施行している.今回,術後補助化学療法のGEM投与期間に対する検討を行ったため報告する.【方法】2007年より2011年まで膵癌に対してR0/R1切除が施行され,当科でGEMによる術後補助化学療法を施行した20例を対象とし,retrospectiveにGEM投与期間と無病生存期間,全生存期間,再発率を検討した.【結果】GEMの投与期間中央値は13カ月,無病生存期間中央値は16.7カ月,生存期間中央値は34.8カ月であった.GEM投与期間を6カ月以内(3例):6-12カ月(7例):12ヶ月以上(10例)に分類すると,無病生存期間中央値は7.7カ月:11.7カ月:16.7カ月(P<0.05)で,生存期間中央値は16.7か月:21.7カ月:34.8カ月(P<0.05)であり,GEM投与期間の延長により,無病生存期間,全生存期間ともに延長を認めた.20例中12例に再発があり,GEM投与期間12カ月以上では10例中3例で,GEM投与期間12カ月以内の10例中9例に比べ,有意に再発率が低かった(P=0.02).【結論】今回の検討では,GEM投与期間の延長が無病生存期間,全生存期間をともに改善し,GEM投与期間が1年間を超えると再発率が有意に低下するため,1年間の術後補助化学療法が有効である可能性が示唆された.治療成績の向上のため,術後補助化学療法の投与期間に関するさらなる検討が必要である.
索引用語