セッション情報 口演

C型肝炎6

タイトル O-131:

何らかの精神症状を有するC型慢性肝炎17例におけるIFNβ/RBV併用療法の治療成績

演者 新 智文(帯広厚生病院健康管理科)
共同演者 菊池 英明(帯広厚生病院第三内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎のIFN治療においては,リバビリン(以下RBV)さらにGenotype1b高ウイルス量症例にはテラプレビル併用が可能となって飛躍的に治療効果が改善された.しかしながら,何らかの精神症状のある患者(軽症~中等症うつ,不安症,不眠症)に対しては,IFNα治療継続に難渋する症例を経験する.そこで今回は,何らかの精神症状のあるC型慢性肝炎患者17例にIFNβ/RBV併用療法を行い,その治療効果や副作用について検討することを目的とした.【方法】当院において何らかの精神症状のあるC型慢性肝炎症例に対し,IFNβ/RBV併用療法を行い,治療成績(SVR率)および副作用による中止率などを評価した.【成績】対象は17例(男性2例,女性15例)で,年齢35-69(中央値56)歳,genotype1bが5例,genotype2a・2bが8例・4例,HCV-RNA 4.7-7.3(平均6.3)LogIU/mL,開始時ヘモグロビン量11.4-16.1(平均13.5)g/dL,開始時血小板数6.4-26.3(平均17.4)万/μL,開始時ALT値16-320(平均67.3)IU/Iであった.genotype1bは5例中4例で治療が終了,SVRに至ったのは3例(75.0%)であった.1例は投与継続中.genotype2a・2bは12例中10例で治療が終了,SVRに至ったのは9例(90.0%)であった.1例は投与継続中,1例は投与継続中に自己都合で中止となった.17例に投与して副作用による中止はなく,精神症状の悪化を来たした症例はみられなかった.尿蛋白が2+以上が1週間以上続いた症例が1例あったが,IFNβの減量などで対応可能であった.血小板数は治療初期に減少するが,その後上昇に転じる症例が多くみられた.一部の症例では貧血によるRBVの減量を行なったが,貧血による治療中止例はなかった.【結語】何らかの精神症状のあるC型慢性肝炎患者に対するIFNβ/RBV併用療法は,精神症状の悪化がなく安全に投与できた.治療効果判定可能な14例中12例(85.7%)でSVRが得られた.
索引用語