セッション情報 口演

大腸癌 外科治療

タイトル O-134:

直腸癌に対するロボット手術の現状

演者 勝野 秀稔(藤田保健衛生大学下部消化管外科)
共同演者 前田 耕太郎(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 花井 恒一(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 佐藤 美信(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 升森 宏次(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 小出 欣和(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 松岡 伸司(藤田保健衛生大学下部消化管外科)
抄録 [はじめに]2009年9月に下部消化管領域におけるda Vinci Surgical Systemを使用したロボット手術を導入し,これまで41例の症例を経験した.婦人科および泌尿器科領域がda Vinci手術全体の75%を占めているが,消化器領域では直腸癌に関する報告を多く認める.多関節の鉗子や3次元画像により,狭骨盤や肥満症例に対する有益性がその一因と考えられるが,手術時間の延長やコストの問題など,臨床に普及するためには課題も散見される.教室でこれまでに経験した直腸癌32例の手術成績と現時点での問題点を報告する.[対象]インフォームドコンセントにて自費診療であるロボット手術に同意が得られた直腸癌症例.[手術手技]大腸癌に対するロボット手術は全ての手技をロボット操作で完遂するTotally robotic techniqueと腹部操作を腹腔鏡操作で行い,骨盤操作をロボットで行うHybrid techniqueに2分される.当院では前述の利点を生かすため,Totally robotic techniqueで手術を行っている.患者は右頭低位で,ロボットは左尾側よりdockingする.術者はカメラを含んだ4本のアームを操作し,助手は助手用ポートからアシストする.内側アプローチで血管処理を行い,外側からS状結腸を授動.腹部操作から骨盤操作への移行時にポート位置を変更し,ベッドを反時計方向に回転するが,ロボットはundockせずに手術操作を継続可能である.[結果]全手術時間は平均448分,ロボットの手術時間は323分,出血量は38gであった.術後に縫合不全2例,骨盤内膿瘍1例,麻痺性イレウスを1例認めたが,共に保存的治療で軽快した.ロボットが原因と考えられる合併症は認めていない.[考察]da Vinci Surgical Systemを用いた直腸癌に対するロボット手術はこれまでのところ安全で,feasibilityがあると考えられるが,ロボットアームの干渉やポート位置の設定など本術式特有の問題点や工夫が必要である.
索引用語