セッション情報 口演

大腸癌 外科治療

タイトル O-137:

結腸MP癌の臨床病理的特徴と適切な郭清範囲の検討

演者 佐藤 美信(藤田保健衛生大学下部消化管外科)
共同演者 升森 宏次(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 小出 欣和(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 本多 克行(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 塩田 規帆(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 松岡 伸司(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 八田 浩平(藤田保健衛生大学下部消化管外科), 前田 耕太郎(藤田保健衛生大学下部消化管外科)
抄録 【目的】結腸MP癌(MP)の臨床病理的特徴と適切なリンパ節郭清範囲を明らかにする.【対象と方法】D3郭清を施行し,組織学的に結腸MPと診断された84例を対象とした.左半MP71例(左MP)と右半MP13例(右MP)を臨床的に比較し,次にMPの臨床病理学的特徴についてSS癌(SS)180例と比較し,MPの適切な郭清範囲について検討した.【結果】結腸MP癌は同時期にD3郭清術を施行した全結腸癌の9.6%で,右側結腸におけるMPの頻度が6.0%であったのに対して,左側結腸では10.8%と有意に高率であった.左MPの初発症状は右MPに比べて血便が有意に多く,便潜血反応陽性が有意に少なかった.右MPの肉眼型は5型が3例(23.1%)と左MPに比べて有意に多かった.根治度Aの手術は左MP67例(94.4%),右MPの全例に施行され,左MPのリンパ節転移率,主または中間リンパ節(遠隔リンパ節)への転移率は25.4%と9.0%で,右MPでは15.4%と0%であった.左MPの再発率,5年生存率は6.0%,93.9%で,右MPでは0%,90.9%で,いずれも有意差を認めなかった.MPはSSに比し5型が有意に多く,最大径は平均3.3cmで有意に小さく,術前血清CEA基準値例は64例(76.2%)と有意に高率で,郭清リンパ節数は平均16.9個と有意に少なかった.根治度Aの手術が施行されたMPのリンパ節転移率は23.8%で,SS(167例)の33.5%に比べて低率の傾向にあったが,遠隔リンパ節への転移率は7.5%でSSの7.8%と差を認めなかった.遠隔リンパ節転移例における再発率はMPで33.3%,SSで16.7%と差を認めず,再発形式にも統計学的な差を認めなかった.MPの根治度A手術症例における5年生存率は93.2%で,SSの85.5%と差を認めなかった.【結論】結腸MPはSSと遠隔リンパ節への転移率,再発率,予後に差が無く,SSと同様な範囲の郭清が必要と考えられた.
索引用語