セッション情報 |
口演
大腸癌 化学療法
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タイトル |
O-138:手術不能進行・再発大腸がんに対する抗VEGF抗体併用療法における重篤な副作用について
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演者 |
伊奈 研次(名古屋記念病院化学療法内科) |
共同演者 |
古田 竜一(名古屋記念病院化学療法内科), 片岡 孝江(名古屋記念病院血液・化学療法内科), 武内 有城(名古屋記念病院外科) |
抄録 |
【目的】分子標的薬剤である抗VEGF抗体の開発により,手術不能進行・再発大腸がんに対する化学療法の成績が向上した.しかし抗VEGF抗体の使用により穿孔などの重篤な合併症の発生が報告されている.当院における抗VEGF抗体の有害事象を検討したので報告する.【対象と方法】当院でオキサリプラチン併用化学療法を行ったことのある手術不能進行・再発大腸がん患者170症例を対象に,抗VEGF抗体を使用したことのあるA群(72例)と使用したことのないB群(98例)に分けて,その有害事象について検討した.抗VEGF抗体に併用した化学療法のレジメンは,FOLFOX,XELOX,FOLFIRI,5-FU/LV療法だった.有害事象をCTCAE v4.0に準じて判定し,生存期間をKaplan-Meier法を用いて解析した.【成績】血栓・塞栓症は,留置カテーテルに関係したものを除くと,A群で1例(脳梗塞),B群で2例(深部静脈血栓症,肺塞栓)にみられた.出血は,A群で5例(血尿,喀血,吻合部出血,下血,歯肉出血)にみられ,抗VEGF抗体の併用を中止することにより軽快した.一方,B群では膀胱浸潤による血尿,脳動静脈奇形からの脳出血,各1例に出血の合併症を認めた.穿孔は両群ともに1例もみられなかった.また間質性肺炎を各群で2例ずつに認めた.A群で認めた間質性肺炎の2例は,抗VEGF抗体の併用を中止することにより軽快しており,抗VEGF抗体によるものであると判断し,抗VEGF抗体の併用を中止して化学療法を継続した.生存期間の中央値はA群で926 days(95% CI:655-1407),B群では509 days(95% CI:352-593)で,有意にA群で延長していた(P=0.0012;log-rank test).【結論】当院で抗VEGF抗体併用療法を受けた患者は,非使用群と比べて生存期間の延長がみられたが,有害事象として出血の合併症が多くみられた(6.9% versus 2.0%).穿孔,血栓・塞栓症の頻度については非使用群と比べて必ずしも大きいとはいえなかった. |
索引用語 |
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