セッション情報 口演

大腸 IBD 4

タイトル O-144:

潰瘍性大腸炎術後回腸嚢炎における初回発症時期と重症度の関連

演者 大北 喜基(三重大学消化管・小児外科)
共同演者 荒木 俊光(三重大学消化管・小児外科), 藤川 裕之(三重大学消化管・小児外科), 橋本 清(三重大学消化管・小児外科), 川村 幹雄(桑名西医療センター外科), 小池 勇樹(三重大学消化管・小児外科), 大竹 耕平(三重大学消化管・小児外科), 井上 幹大(三重大学消化管・小児外科), 田中 光司(三重大学消化管・小児外科), 井上 靖浩(三重大学消化管・小児外科), 内田 恵一(三重大学消化管・小児外科), 毛利 靖彦(三重大学消化管・小児外科), 楠 正人(三重大学消化管・小児外科)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎術後の回腸嚢炎は,QOLを低下させる要因の一つである.初回発症時期は1年以内が多いとされているものの,初回発症時期と重症度の関連についてこれまで検討されていない.【目的】当施設で大腸全摘回腸嚢肛門吻合術が施行された症例において,1年以内に発症した早期発症回腸嚢炎と1年以降に発症した晩期発症回腸嚢炎を比較し,早期および晩期発症回腸嚢炎の特徴について報告する.【方法】2000年10月から2012年6月までの間に回腸嚢肛門吻合術が施行された潰瘍性大腸炎患者236例のうち,回腸人工肛門非閉鎖例および痔瘻,骨盤内膿瘍合併による回腸人工肛門造設例を除いた219例を対象とした.回腸嚢炎診断はmodified pouchitis disease activity index(mPDAI)≧5とし,再燃寛解を繰り返す症例,抗生剤依存性および抵抗性の症例を難治性と定義した.当科における回腸嚢炎の発症の状況を評価し,早期発症回腸嚢炎と晩期発症回腸嚢炎の周術期の臨床病理学的因子を比較した.さらに発症時期とmPDAIの相関について解析した.【結果】回腸嚢炎を発症した症例は63例(28.8%)であった.回腸嚢炎における難治性の症例は31例(49.2%)であった.早期発症回腸嚢炎と晩期発症回腸嚢炎の周術期臨床病理学的因子(発症年齢,性別,病悩期間,腸管外合併症の有無,back wash ileitisの有無等)の比較では両群間に有意差は認めなかった.早期発症回腸嚢炎は晩期発症回腸嚢炎に比べ有意にmPDAIの値が高く,難治性になりやすかった.また初回発症時期とmPDAIの値は有意に弱い負の相関がみられた.【結論】回腸嚢炎の初回発症時期が早いほど,重症度が高いことが示唆された.また早期発症回腸嚢炎は晩期発症回腸嚢炎に比べ,重症で難治性になりやすいことが示唆された.
索引用語