セッション情報 口演

大腸 IBD 4

タイトル O-145:

潰瘍性大腸炎若年発症例の臨床的検討

演者 川岸 加奈(北里大学東病院消化器内科)
共同演者 横山 薫(北里大学東病院消化器内科), 加藤 彩(北里大学東病院消化器内科), 迎 美幸(北里大学東病院消化器内科), 小川 大志(北里大学東病院消化器内科), 佐田 美和(北里大学東病院消化器内科), 小林 清典(北里大学東病院消化器内科), 小泉 和三郎(北里大学東病院消化器内科)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)若年発症例の臨床的特徴を明らかにする.【方法】20歳未満の若年でUCを発症し,当院で入院加療歴や1年以上の外来通院歴がある146例(男性83例,女性63例)を対象とし,背景因子や臨床経過,治療内容などについて検討した.【結果】1)UC診断時の平均年齢は17.8±3.0歳(8~19歳),当院初診時の平均年齢は19.4±4.8歳であった.若年発症例は全UC症例(1353例)の10.8%を占めた.病型は再燃寛解型111例(76%),初回発作型28例(19%),慢性持続型7例(5%)であった.診断時の病変範囲は,全大腸炎型94例(65%),左側大腸炎型27例(18%),直腸炎型12例(8%)などで,UC全体では各々48%,27%,25%であった.若年発症例は全大腸炎型が多く,直腸炎型が少なかった.2)経過中に入院加療を87例(60%)で要し,平均入院回数は1.3回(1~5回)であった.このうち若年での入院加療は53例(68回)で要した.治療内容はプレドニゾロン投与47例(87%),ステロイドパルス療法8例(15%),血球成分除去療法13例(25%),免疫調節薬7例(13%),Tacrolimus3例(6%),Infliximab 2例(4%)であった.なお再入院を15例(28%)に要し,このうち病変範囲の進展を7例に認めた.3)外科手術を必要としたのは32例(22%)で,手術時の平均年齢は22±5.5歳(16~37歳)であった.手術理由はステロイド抵抗性が26例(82%)で最も多く,以下はステロイド依存性2例,dysplasia2例などであった.なお薬物療法の副作用はステロイド投与例に多く,抑うつ状態を5例(2例は不登校),卵巣機能不全,myopathy,大腿骨頭壊死を各1例認めた.【結論】UCの若年発症例は全大腸炎型が多く,入院治療やステロイド投与,さらにステロイド抵抗性で外科手術が必要になる頻度が高かった.
索引用語