セッション情報 口演

大腸 IBD 5

タイトル O-146:

当院における潰瘍性大腸炎重症例・難治例に対する内科的治療戦略

演者 平賀 寛人(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座)
共同演者 櫻庭 裕丈(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座), 蓮井 桂介(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座), 千葉 大輔(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座), 澤谷 学(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座), 珍田 大輔(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座), 花畑 憲洋(弘前大学大学院医学研究科地域医療学講座), 三上 達也(弘前大学医学部附属病院光学医療診療部), 下山 克(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座), 石黒 陽(独立行政法人国立病院機構弘前病院消化器血液内科), 福田 眞作(弘前大学大学院医学研究科消化器血液内科学講座)
抄録 【目的】潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療は,免疫調節薬(IM)やインフリキシマブ(IFX)などの生物学的製剤の適応追加に伴い,重症例や難治例での手術回避可能な症例が増加している.当院における手術例の特徴から重症例・難治例に対する内科治療戦略について検討を行った.【方法】1999年1月から2012年9月までに重症または難治性によりIMによる治療あるいは手術が施行されたUC 131症例について治療成績について検討した.手術症例については1999年から2005年までの前期とそれ以降の後期に分けて検討した.【成績】重症例について37例(前期5例,後期32例)にシクロスポリン持続静注療法を施行,31が有効(有効率83.8%)で無効は6例で5例が手術,1例はその後IFX無効で手術となった.寛解導入後6MP/AZPで寛解維持が22例(寛解維持率73.3%),8例が再燃しうち5例が手術,FK506で2例,IFXで1例手術回避が可能であった.難治例で45例に6MP/AZPが投与され寛解維持が22例(寛解維持率49%),23例が再燃しそのうち20例が手術,FK506で3例手術回避が可能であった.手術例については,前期56例(8例/年)で,うちIM投与例が10例(17%),血球成分除去療法施行(CAP)が24例(43%)であった.後期26例(3.7例/年)で,うちIM投与例が21例(81%),CAPが14例(54%)であった.【結論】シクロスポリンでの寛解導入後の6MP/AZPでの維持療法の有効率が高く,重症例の手術回避による手術例の減少に寄与した.一方で手術例の約30%は6MP/AZPでの寛解維持困難例で特に後期では手術例の77%を占めた.今後このような症例に対してのFK506やIFX投与による手術回避が課題であると考えられた.
索引用語