セッション情報 口演

大腸 IBD 5

タイトル O-149:

難治性活動期潰瘍性大腸炎患者に対する内科治療の有効性と限界の検討

演者 横山 陽子(兵庫医科大学内科学下部消化管科)
共同演者 福永 健(兵庫医科大学内科学下部消化管科), 松本 譽之(兵庫医科大学内科学下部消化管科)
抄録 2009年にタクロリムスが承認され,2010年に白血球系細胞除去療法(CAP)の週における施行回数制限がなくなり,難治性潰瘍性大腸炎(UC)患者の治療計画は大きな変遷を遂げた.しかしUCの重症・難治症例の治療は依然手術回避のためにいかに早期に治療方針を立案し臨床的改善に導くかにあり,いずれの治療についても適応条件を明確にする必要があると思われる.今回我々はタクロリムス,またはintensive CAPを導入した活動期UC患者を対象とし各々の不応・手術になりうる予測因子,適応症例について検討し考察した.対象と方法:タクロリムス導入群47例,intensive CAP施行群26例の活動期UC患者を対象とした.疾患活動性はLichtiger’s clinical activity index(CAI)と内視鏡評価も含めたMayoで評価しタクロリムス群の平均CAIは10.0±3.3点,平均Mayoは8.0±2.0点で,intensive CAP群の平均CAIは11.3±3.3点,平均Mayoは8.3±2.0点であった.患者背景においては導入時の1日プレドニン投与量以外は両群間に有意差はかなった.臨床的改善に至った群(Clinical Response:CR群)と不応群(Non-Clinical Response:NCR群)間での症例背景を比較し,不応となる予測因子について検討した.結果:タクロリムス不応は19.1%(9/47)であった.タクロリムス不応の予測因子を解析した結果,タクロリムス導入時の1日のプレドニン投与量(P<0.05),導入7日目のCAI(P<0.01)が有意な因子となった.一方intensive CAP不応は30.7%(8/26)であった.intensive CAPにおけるCR群とNCR群では導入までの日数(P<0.01)と3回施行後のCAI(P<0.01)で有意差を認め,また3回施行後のCAIが有意な不応予測因子となった.結語:後ろ向きではあるが今回の検討で各々の適応条件を見つけることは出来なかったが不応・手術となる予測因子を同定することができた.不応と予測される難治症例の場合はより早期に治療効果を見極め他の治療への変換や手術を考慮する必要があると思われる.
索引用語