セッション情報 口演

大腸 IBD 6

タイトル O-152:

活動期潰瘍性大腸炎(UC)に対する白血球除去療法(LCAP)の内視鏡的改善及び長期効果に関する多施設共同研究

演者 奥山 祐右(京都第一赤十字病院消化器内科・近畿IBD Study Group)
共同演者 西下 正和(西下胃腸病院), 上野 義隆(広島大学医学部消化器・代謝内科), 久下 博之(健生会土庫病院), 安藤 朗(滋賀医科大学消化器内科), 松本 譽之(兵庫医科大学内科学下部消化管内科), 藤山 佳秀(滋賀医科大学消化器内科)
抄録 【目的】活動期UC患者に対するLCAPの効果に関して,内視鏡的粘膜改善の有無及び治療終了12カ月後の臨床的効果持続について検討した.【方法】Mayo scoreが5~12点のステロイドフリー及び抵抗性の活動期UC患者31名を対象とした.LCAPは1クール(5回)行い,必要に応じて2クール施行した.開始後3週目,6週目にPartial Mayo score及び血液検査にて評価し,治療開始前と1クール終了後に内視鏡検査を施行した.臨床的改善例においては,12カ月後まで経過観察した.【成績】(1)LCAP1クール施行後の臨床的効果に関して,6週目でのMayo scoreはステロイドフリー症例で8.0から4.6,抵抗例で8.3から3.9と有意に軽減し,内視鏡所見ではRachmilewitz’s EIにて前者で9.1から6.1,後者で10.0から5.7と有意に改善した.(2)mucosal healingに至ったのは10例(42%)で,治療開始後3週目の白血球数,CRP値には変化を認めないが,血小板数の有意な減少を認めた(p<0.05).6週目の血小板数においては,mucosal healingに至った症例では,至らなかった症例と比較して,有意な減少を認めた(p<0.05).臨床的改善のみられた17例に関して12カ月後における臨床的効果の持続は,ステロイドフリー症例で89%,抵抗例で50%において確認した.治療開始後3週目での血小板数が,治療前値に比し15%以上減少した群では,不変・増加群に比し,12カ月後での臨床効果持続例の割合が有意に高かった(p<0.05).【結論】LCAPはステロイドフリー及び抵抗性活動期UC患者に対して有効な治療であり,内視鏡的粘膜改善も約40%に認めた.治療開始後3週目での血小板数の減少は,mucosal healing及び治療後12カ月の効果持続にも関与している可能性が考えられる.
索引用語