セッション情報 口演

胃癌 化学療法1

タイトル O-155:

進行・再発胃癌に対する一次療法としてのS-1単剤,S-1+CDDP併用療法,S-1+docetaxel併用療法の比較

演者 楠本 哲也(九州大学消化器・総合外科)
共同演者 安藤 幸滋(九州大学消化器・総合外科), 井田 智(九州大学消化器・総合外科), 木村 和恵(九州大学消化器・総合外科), 佐伯 浩司(九州大学消化器・総合外科), 沖 英次(九州大学消化器・総合外科), 森田 勝(九州大学消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学消化器・総合外科)
抄録 【背景と目的】進行・再発胃癌のHER2過剰発現の検査陽性率は15%前後と低く,依然として従来の標準治療レジメンであるS-1単剤またはS-1+CDDP(SP)併用療法の役割は大きい.一方,我々は,臨床病期IIIA,IIIB(IV)の進行胃癌に対する術前化学療法としてのS-1+docetaxel(SD)併用療法の多施設共同臨床第II相試験を実施し本レジメンの有用性を報告しており,その結果を踏まえてCDDPの導入が困難な症例を中心に一次治療のレジメンとして使用している.今回,一次治療におけるS-1 base治療として選択されるこれらのレジメンの有効性を後ろ向きに比較した.【対象と方法】S-1を含む化学療法が導入された進行・再発胃癌89例を対象として奏効率(ORR),疾患制御率(DCR),無増悪生存期間(PFS),全生存期間(OS)および有害事象を検討した.【結果】各群はS-1単剤15例,SP 21例,SD 53例であった.ORR/DCRはS-1単剤6.7/66.7%,SP 38.1/61.9%,SD 30.2/79.3%.PFSは各々121日,199日,178日でS-1単剤とSDの間に有意差がみられた(P<0.05).OSではMSTが各々892日,293日,669日と,本検討ではS-1単剤が最も長期生存が得られたが,これは二次治療以降への移行割合が高いことが影響していると考えられた.その二次治療ではirinotecan(CPT)またはpaclitaxel(PTX)単剤投与が施行され,各々ORR/DCR:CPT 20.8/62.5%,PTX 13.4/37.5%;PFS中央値:CPT 220日,PTX 132日;MST:CPT 707日,PTX 751日で,SD→CPTの無増悪期間が最も長期であった.一次治療においては各群の間で重篤な有害事象の発現頻度に差はなかった.【考察】実地臨床では一次治療としてのSD療法は,標準治療であるS-1単剤,SP療法とともに適応可能と考えられた.
索引用語