セッション情報 口演

胃癌 化学療法1

タイトル O-157:

切除不能・再発胃癌に対するdocetaxel/cisplatin/S-1(DCS療法)とCS療法の治療成績:後方視的検討

演者 中山 昇典(神奈川県立がんセンター消化器内科)
共同演者 西村 賢(神奈川県立がんセンター消化器内科), 高木 精一(神奈川県立がんセンター消化器内科), 井口 靖弘(神奈川県立がんセンター消化器内科), 浅見 昌樹(神奈川県立がんセンター消化器内科), 須江 聡一郎(神奈川県立がんセンター消化器内科), 亀田 亮(神奈川県立がんセンター消化器内科), 本橋 修(神奈川県立がんセンター消化器内科)
抄録 【目的】本邦において,Her2陽性の切除不能再発胃癌に対する標準治療は,trastuzumab/capecitabine/CDDP(XP)療法であり,Her2陰性の切除不能再発胃癌に対する標準治療はCS療法である.我々は北里大学と共同でDCS療法を開発し,奏効率(RR):81.3%,無増悪生存期間中央値(mPFS):8.7ヶ月,全生存期間中央値(MST):18.5ヶ月と有効性につき報告してきた(Nakayama N, et al:Oncology. 2008,Koizumi W, et al:Cancer Chemother Pharmacol. 2012).現在JCOG胃癌グループにおいて,切除不能再発胃癌に対するDCS療法とCS療法の比較第3相試験(JCOG1013)が進行中である.そこで当院におけるDCS療法とCS療法の有効性や安全性につき後方視的に比較検討した.【対象】当院において2006年4月から2011年4月までに,DCS療法(docetaxel 40mg/m2 day1,cisplatin 60mg/m2,S-1 80mg/m2 2weeks,q4weeks)あるいはCS療法(cisplatin 60mg/m2,S-1 80mg/m2 3weeks,q5weeks)を施行されたPS:0-1までの切除不能・再発胃癌患者【成績】患者総数111人(DCS/CS,45/66),男性(37/45),女性(8/21),年齢中央値(57/65),mPFS(8.8ヶ月/5.7ヶ月:P=0.011),MST(19.5ヶ月/15. 0ヶ月:P=0.036),RR(76.5%/55.6%:P=0.047)であった.grade 3/4以上の毒性は,白球血減少(37.8%/12%),好中球減少(62.2%/28.7%),発熱性好中球減少(8.8%/1.5%),貧血(8.8%/19.7%),AST(2.2%/1.5%),食欲不振(2.2%/15.1%),下痢(4.4%/3.0%),低Na血症(8.9%/9.1%)であり,両群とも治療関連死は認められなかった.【結論】DCS療法は,PFS,OSともに有意に延長しおり,CS療法よりも優れている可能性が示唆された.grade 3/4以上の白球血減少と好中球減少の発生頻度は,DCS療法のほうが有意に多く,食欲不振についてはCS療法のほうが有意に多かった.しかし,この結果は単施設のretrospectiveな解析であるため,今後JCOG1013の結果が待たれる.
索引用語