セッション情報 口演

胃癌 化学療法2

タイトル O-159:

胃癌におけるHER2を標的とした分子標的治療の可能性について

演者 白石 謙介(山梨大学外科学講座第一教室)
共同演者 三村 耕作(Department of Surgery, National University of Singapore), 井澤 伸一郎(山梨大学外科学講座第一教室), 丸山 孝教(山梨大学外科学講座第一教室), 柴 修吾(山梨大学外科学講座第一教室), 渡邉 光章(山梨大学外科学講座第一教室), 赤池 英憲(山梨大学外科学講座第一教室), 河口 賀彦(山梨大学外科学講座第一教室), 藤井 秀樹(山梨大学外科学講座第一教室), 河野 浩二(Department of Surgery, National University of Singapore)
抄録 【目的】現在,HER2陽性進行再発胃癌に対する集学的治療の1つとしてTrastuzumabを含む化学療法が新たな標準治療として位置づけられたが,その予後はいまだに不良である.今回われわれは,HER2に特異的に結合するヒト化モノクロール抗体であるTrastuzumabと,EGFRとHER2両者に対するチロシンキナーゼ阻害薬であるLapatinibを併用し,胃癌におけるHER2を標的とした分子標的治療の可能性について検討した.【方法】胃癌細胞株9株(MKN7,MKN28,MKN45,MKN74,KATOIII,OCUM1,NUGC3,NCI-N87,OE19)において,Lapatinibによる細胞表面上のHER2発現の増幅をflow cytometric assayで検討.HER2強発現胃癌細胞株(MKN7,OE19)とHER2低発現胃癌細胞株(MKN45)においてLapatinibによるHER2,Akt,Erk1/2のリン酸化の抑制状態をWestern blotで調べた.またHER2強発現胃癌細胞株(MKN7,OE19,NCI-N87)とHER2低発現胃癌細胞株(MKN45,MKN74,KATOIII)において,Lapatinibの細胞増殖抑制効果をMTT cell proliferation assayにて,apoptosis誘導能をAnnexin Vと7AADを用いたflow cytometric assayで検討した.さらにHER2増幅効果に伴うTrastuzumabの抗体依存性細胞傷害(ADCC)の増強効果について検討した.【結果】全ての胃癌細胞株において,LapatinibによるHER2増幅効果を認めた.また,Lapatinibは,HER2,Akt,Erk1/2のリン酸化を抑制し,HER2強発現株において細胞増殖抑制とapoptosisを誘導し,ADCCの効果を増強した.【考察】Lapatinibは,HER2強発現胃癌細胞株において細胞増殖抑制とapoptosisを誘導し,ADCCの効果を増強させた.これらの結果より,LapatinibはHER2強発現胃癌細胞に対して有効であり,さらに,LapatinibとTrastuzumabの併用療法はHER2陽性胃癌細胞に対して有効である可能性が示唆された.
索引用語