セッション情報 口演

胃癌 化学療法2

タイトル O-160:

当院における胃癌HER2発現の現状と個別化治療への展開

演者 堀田 洋介(富山県立中央病院内科(消化器))
共同演者 平井 聡(富山県立中央病院内科(消化器)), 島谷 明義(富山県立中央病院内科(消化器)), 松田 耕一郎(富山県立中央病院内科(消化器)), 平松 活志(富山県立中央病院内科(消化器)), 松田 充(富山県立中央病院内科(消化器)), 荻野 英朗(富山県立中央病院内科(消化器)), 野田 八嗣(富山県立中央病院内科(消化器))
抄録 【背景】ToGa試験においてHER2陽性胃癌患者に対するFPもしくはXP療法へのtrastuzumab(以下Tmab)の上乗せが証明され,本邦でも2011年より胃癌に対してTmabの使用と共にHER2検査が保険承認された.
【目的】当院における胃癌でのHER2検査の実態を調査し,またHER2検査により個別化治療がどのように進められているかを調査する.
【方法】2011年3月から2012年8月までの期間.当院においてHER2発現が検討された190症例についてのHER2陽性率を検討し,またTmabの治療対象となるstage4胃癌について,HER2検査後の治療経過についての検討も行った.
【結果】全190例中,HER2陽性例は35例でHER2陽性率は18.4%であった.190例中検査に手術検体を用いたのは149例であり,生検検体を用いたのは41例であった.HER2陽性率は手術17.5%,生検21.9%であった.組織別にみると分化型30.3%,未分化型5.88%,その他(NEC等)0%であった.生検例での平均生検個数は4個(2-7)であった.Stage4胃癌55例中,HER2陽性であったのは11例(20%)であったが,そのうちTmabを用いた治療を受けたのは4例(XP+Tmab1例,PTX+Tmab(第2相臨床試験)3例)のみであった.その他の7例がTmabを使用できなかった理由として,身体状況不良の為,他のレジメンが選択となった症例が3例,狭心症や心筋梗塞の既往からTmabが使用できなかった症例が2例,化学療法自体が不可であった症例が2例であった.
【まとめ】当院における胃癌のHER2陽性率は従来報告されている14-17%とほぼ同様の18.4%であった.乳癌などと比較しHER2発現の不均一性が言われている胃癌であるが,手術摘出検体と生検検体の間でのHER2陽性率には差が見られず,平均4個程度の生検でも問題ない事が示唆された.Tmabの治療対象となるstage4症例においては,20%がHER2陽性であったが,実際Tmabが適応となり使用されている症例はstage4全体の7%のみであり,より絞られた対象への治療法となっている現状が示された.
索引用語