セッション情報 口演

胃癌 化学療法2

タイトル O-161:

HER2時代の進行・再発胃がん化学療法

演者 杉本 直俊(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科)
共同演者 吉波 哲大(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 山本 幸子(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 屋木 敏也(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 今村 文生(大阪府立成人病センター臨床腫瘍科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター消化管内科)
抄録 [背景]SPIRITS試験の結果,進行・再発胃がんにおけるS-1+シスプラチン(SP)療法は本邦における標準治療となった.その後,ToGA試験によりHER2陽性胃がんに対するトラスツズマブ(T-mab)の化学療法への上乗せ効果が示された.ただしそのベースとなる化学療法は,カぺシタビン+シスプラチン(XP),または5-FU+シスプラチン(FP)であり,本邦標準のSP療法ではない.結果,本邦ガイドライン上は「HER2陽性胃がん=XP(またはFP)+T-mab」,「HER2陰性または不明胃がん=SP療法」が標準治療とされ,混乱が生じている.[目的・方法]以下2つのClinical questionに対して自験例にての考察を行った.(1)HER2陰性胃がんにおいて,XP療法とSP療法の治療成績に差があるか?(2)HER2陽性胃がんにおいて,SP療法+T-mab併用療法は,XP+T-mab併用療法と同等の安全性と有効性は示されるか?[結果](1)当センターにおける両治療(XP:18例,SP:60例)の治療成績は,RR,DCR,PFS,OSはそれぞれXP:SP=71%:46%,71%:68%,6.6か月:5.5か月,14.2か月:12.3か月であり,XP療法はSP療法に対し遜色がなかった.また,毒性も同等であった.(2)臨床試験下において,SP療法(3週サイクル)+T-mab併用療法を6例に実施した.現在安全性および有効性について検討中である.[結論](1)HER2陰性胃がんにおいて,XP療法はSP療法と同等の有効性と安全性が示唆された.(2)HER2陽性胃がんにおいては,SP療法+T-mab併用療法はいくつかの前向き臨床試験で検証中であり,うち一つは2013ASCO-GIにてその結果が報告される.当日は文献的考察,前向き臨床試験の進捗状況も踏まえた考察を加えて発表する.
索引用語