セッション情報 口演

胃癌 基礎1

タイトル O-163:

2型糖尿病薬メトフォルミンの胃癌細胞に対する増殖及びHER2発現抑制効果に対する検討

演者 中島 典子(日本大学消化器肝臓内科)
共同演者 森山 光彦(日本大学消化器肝臓内科), 横田 崇(日本大学消化器肝臓内科), 杉田 香理奈(日本大学消化器肝臓内科), 小林 駿(日本大学消化器肝臓内科), 大久保 理恵(日本大学消化器肝臓内科), 西山 竜(日本大学消化器肝臓内科), 赤井 祐一(日本大学消化器肝臓内科), 大谷 豪(日本大学消化器肝臓内科)
抄録 2型糖尿病薬のメトフォルミンはインシュリンの感受性を改善し,さらに肝臓内の糖の合成を抑制し,筋肉内の糖代謝を誘導する作用があることで多く臨床的に投与されている.この薬剤は細胞内でAMP活性化プロテインキナーゼを活性させることで糖代謝を誘導すると考えられている.更に臨床的検討においてこの薬剤を投与されている患者さんでは癌の発生率が減少していることが報告されている.よって今回我我々は胃癌の細胞におけるメトフォルミンの増殖に対する効果とHER2の発現の作用についてin vitroにて検討した.方法:胃癌細胞株のAGS細胞を用いて,メトフォルミン0.01Mから10Mの濃度で24時間投与し,細胞増殖はBrdUの取り込み率にて,またHER2の発現についてはELISA法を用いて定量した.細胞増殖の抑制,及びHER2発現のメトフォルミンの効果についてはAGS細胞単独群の比にて表記した.結果:メトフォルミン投与によりAGS細胞のBrdUの取り込みは優位に抑制した(0.01M;80.19±9.19%,0.1M:87.55±9.72%,1M;85.81±10.16%,10M;79.40±11.78%)また同時にHER2の発現も優位に抑制した(0.01M;81.91±7.69%,0.1M;83.87±8.3%,1M;84.27±9.47%,10M;76.01±11.51%).結論:2型糖尿病薬のメトフォルミンは胃癌細胞においてその増殖を抑制し,またHER2の発現も抑制した.このことから,メトフォルミンは胃癌に対する治療薬として有効である可能性と更にAMPK系の抑制のみならずMAPKの抑制作用をも有することが示唆された.
索引用語