セッション情報 口演

胃癌 基礎1

タイトル O-165:

抗糖尿病薬Metforminよる胃癌細胞増殖の抑制

演者 加藤 清仁(香川大学医学部消化器神経内科)
共同演者 鎌田 英紀(香川大学医学部消化器神経内科), 有友 雄一(香川大学医学部消化器神経内科), 小野 昌弘(香川大学医学部消化器神経内科), 正木 勉(香川大学医学部消化器神経内科)
抄録 【目的】近年,抗糖尿病薬であるMetforminが,前立腺癌,乳癌に対して抗癌作用を持つことが報告されている.今回,我々は,Metforminの胃癌に対する抗癌作用を培養細胞株,実験モデル動物を用いて検討した.更にMetforminの抗癌作用に関連するmicroRNAの同定を網羅的に解析した.【方法】1.in vitroの系:胃癌細胞株として,MKN1,MKN45,MKN74を使用し,Metformin投与による細胞増殖をcell proliferation assayにより検討し,種々の細胞周期関連分子の発現動態はWestern blot法により検討した.また,Metformin投与により,誘導されうるmiRNAsを1000分子が搭載されたアレイを用いて網羅的に検討した.2.in vivoの系:MKN74細胞をヌードマウスに皮下移植し,Metforminが,in vivoにおいても増殖を抑制するかを検討し,胃癌細胞株におけるMetformin投与による細胞周期関連分子,miRNAsについても,in vitroの系と同様に検討した.【結果】1.in vitroの系:Metfromin投与は非投与群と比較して,3種類全ての胃癌細胞株で増殖は抑制されていた.Metformin投与は非投与と比較し,CyclinD1,Cdk4,Cdk6の発現が抑制されRbのリン酸化は低下していた.また,フローサイトメトリーにおける検討でも,Metformin投与は,胃癌細胞株をG1停止に導いていた.Metformin投与により,43種類のmiRNAsの発現動態が有意に変化し,様々な癌関連miRNAの変化も認められた.2.in vivoの系:Metformin投与は,胃癌細胞の増殖を顕著に抑制し,さらに,細胞周期関連分子,miRNAsの動態変化もin vitroの系に類似していた.また,RTK arrayを用いた解析ではin vitro,in vivoにおいてEGFR,IGF-1RはMetformin投与群において抑制されていた.【結論】Metforminが胃癌対し抗がん作用を持つことをin vitro,in vivoの系において証明した.さらに,そのMetforminの抗癌作用の一つに癌抑制miRNAsを誘導し,細胞周期のG1期で停止させることにより癌細胞の増殖を抑制することが示唆された.
索引用語