セッション情報 口演

胃癌 基礎1

タイトル O-166:

IL-22/STAT3シグナルによる胃癌細胞の浸潤促進作用

演者 福井 広一(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
共同演者 Zhang Xinxing(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 山崎 尊久(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 近藤 隆(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 富田 寿彦(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 大島 忠之(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 渡 二郎(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 藤盛 孝博(獨協医科大学病理学(人体分子)), 松本 譽之(兵庫医科大学内科学下部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学内科学上部消化管科)
抄録 【背景・目的】インターロイキン22(IL-22)はTh1とTh2どちらにも分類されない免疫担当細胞から産生され,その受容体は消化管粘膜上皮細胞に発現することが明らかになった.そこで本研究では,慢性炎症を背景に発生する胃癌組織においてIL-22がどのように胃癌細胞の浸潤を促進するかを検討した.【方法】IL-22 receptor 1とIL-10 receptor 2を共発現する胃癌細胞株AGSおよびMKN28を用い,以下の検討を行った.1.胃癌細胞を用量依存的にIL-22で刺激し,その浸潤能をBioCoat Matrigel invasion chamberで評価した.2.胃癌細胞をIL-22で刺激し,リン酸化STAT3,リン酸化ERK,リン酸化Aktの発現変化をwestern blotで検討した.3.IL-22シグナルをSTAT3 siRNA,MAPK inhibitor,Akt inhibitorで抑制し,IL-22刺激による胃癌細胞浸潤能の変化をinvasion assayで検討した.【結果】1.IL-22刺激は用量依存的に胃癌細胞浸潤を促進させた.2.IL-22刺激によってAGS細胞ではリン酸化STAT3,MKN28細胞ではリン酸化STAT3とリン酸化ERKの発現が増強した.3.IL-22刺激によって亢進したAGS細胞の浸潤能はSTAT3 siRNAの処理によって消失し,MAPK inhibitorでは部分的に抑制された.一方,MKN28細胞ではSTAT3 siRNAとMAPK inhibitor処理でその浸潤能がコントロールレベルまで抑制された.【結論】IL-22はSTAT3シグナルを介して胃癌細胞の浸潤能を亢進させる可能性が示唆された.
索引用語