セッション情報 | 口演胃癌 基礎1 |
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タイトル | O-167:HER2陽性胃癌におけるPI3K-Akt経路異常に関する検討 |
演者 | 伊藤 美樹(札幌医科大学第一内科) |
共同演者 | 須河 恭敬(札幌医科大学第一内科), 山本 博幸(札幌医科大学第一内科), 能正 勝彦(札幌医科大学第一内科), 國本 浩明(札幌医科大学第一内科), 五十嵐 央祥(札幌医科大学第一内科), 内藤 崇史(札幌医科大学第一内科), 足立 靖(札幌医科大学第一内科), 鈴木 拓(札幌医科大学分子生物学講座), 信岡 隆幸(札幌医科大学第一外科), 三上 雅史(JR札幌病院消化器内科), 松野 孝(札幌外科記念病院外科), 長谷川 匡(札幌医科大学病院病理部), 平田 公一(札幌医科大学第一外科), 篠村 恭久(札幌医科大学第一内科) |
抄録 | 【背景】ToGA試験の結果,HER2陽性胃癌に対して抗HER2抗体であるTrastuzumab(Tmab)の有効性が証明された.乳癌での研究でPI3K-Akt経路の異常がTmabの効果と関連すると考えられている.しかし,胃癌におけるHER2発現とPI3K-Akt経路の異常に関してはほとんどわかっていない.【目的】HER2陽性胃癌におけるPI3K-Akt経路の異常の頻度,予後との関連を明らかにする.【方法】外科的切除術を施行されたT2-4胃癌213例のホルマリン固定標本を用い,HER2発現を免疫染色キット(HERCEPTEST)を用いてガイドラインに基づき4段階で判定し,2+,3+を陽性とした.PIK3CA遺伝子変異,PTENの発現低下についてパイロシークエンス法,免疫染色を用いて検討した.さらにphospho-Akt(pAkt)の発現を免疫染色で解析した.【結果】全体ではHER2陽性27例(13%),PIK3CA変異17例(8%),PTEN不活化51例(24%)であった.HER2陽性胃癌においてPIK3CA変異,PTEN不活化をそれぞれ1例(4%),5例(19%)に認めた.pAkt発現はHER2陽性例の67%(18/27),HER2陰性例の50%(98/186)で有意差を認めなかったが,IHC3+症例のみを陽性とするとHER2陽性例で有意にpAkt陽性率が高かった(81%,p=0.018).PIK3CA変異,PTEN不活化の有無ではpAkt発現に有意差を認めなかった.HER2発現の有無では予後に有意差を認めなかったが,pAkt発現は不良な予後との相関を認めた(p=0.048,HR 1.55;95%CI 1.01-2.44).また,HER2陽性例でPIK3CA変異もしくはPTEN不活化を伴う症例は,予後不良な傾向がみられた(1年生存率30% vs 79%,p=0.06,HR 3.39;95%CI 0.72-12.18).【結語】HER2陽性胃癌においてPI3K-Akt経路の異常に関わる因子は予後不良因子となる可能性が示唆された. |
索引用語 |