セッション情報 口演

肝癌5

タイトル O-173:

肝細胞癌(HCC)患者における宿主側・腫瘍側因子の変化と対応

演者 安藤 慶(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科)
共同演者 上野 真一(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 迫田 雅彦(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 飯野 聡(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 南 幸次(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 蔵原 弘(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 又木 雄弘(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 前村 公成(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 石神 純也(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 新地 洋之(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科), 夏越 祥次(鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科)
抄録 【目的】肝細胞癌(HCC)患者における宿主側・腫瘍側因子の変遷から今後の対応を検討する.
【対象・方法】1990年から2009年までの鹿児島肝癌研究会に登録されている初発HCC患者2576症例を対象に,1990年から1998年までの症例群(前期群)と,2003年から2009年までの症例群(後期群)に分け臨床的背景及び予後等の比較検討を行った.
【結果】後期群は前期群と比較し,HCV感染症例が14%減少し,nonBnonC症例の割合が前期群で13.1%であったのに対し,後期群では26.4%であった.また,後期群では糖尿病合併症例が12%増加し,肝切除症例だけでみると脂肪肝の割合が2%増加していた.nonBnonC症例の1/3以上には糖尿病が合併しており,この群では術後合併症発生率が高く,その15%に長期入院を要した.腫瘍側因子の比較では後期群において早期癌が約11%増加したのに対し,進行癌が約17%減少していた.後期群の初回治療の割合はTACE,肝切除,経皮的焼灼の順であり,これは他の年代群と比較しても大きな変化はみられなかった.生存率ではstageI~IIIでは後期群で予後改善を認めたが,stageIVでは有意な改善はみられなかった.
【結論】最近の傾向として肝炎ウイルスによる障害肝が減少し,nonB nonC typeの肝細胞癌が著増してきている.その中で糖尿病や脂肪肝合併のHCCの増加は,その予備能評価を含め,原因・治療効果の面からも新しい問題を提起していると考えられる.また,依然として予後改善効果のみられないstageIV肝細胞癌への対策も望まれる.
索引用語