セッション情報 口演

肝癌5

タイトル O-174:

B型肝炎関連肝細胞癌の臨床的特徴

演者 津久井 雄也(山梨大学医学部第1内科)
共同演者 中山 康弘(山梨大学医学部第1内科), 坂本 穣(山梨大学医学部第1内科), 高田 ひとみ(山梨大学医学部第1内科), 田中 佳祐(山梨大学医学部第1内科), 佐藤 光明(山梨大学医学部第1内科), 三浦 美香(山梨大学医学部第1内科), 進藤 邦明(山梨大学医学部第1内科), 雨宮 史武(山梨大学医学部第1内科), 井上 泰輔(山梨大学医学部第1内科), 前川 伸哉(山梨大学医学部第1内科), 榎本 信幸(山梨大学医学部第1内科)
抄録 【目的】B型肝炎関連肝細胞癌(B-HCC)の実態についてfollow up(f/u)状況から検討した.【対象と方法】2005年8月から2012年6月までに当科で診断された肝細胞癌458例のうちB-HCC43例(9%),非B型肝炎肝癌(NonB-HCC)415例(91%)を対象とした.【結果】1)男女比(M/F)はB-HCC,NonB-HCCで33/11対273/142と差がなかったが,年齢はB-HCC 35~83歳(中央値:61歳),NonB-HCC 43~89歳(中央値:70歳)でB-HCCが若年であった.2)Child-Pugh分類はB-HCC,Non-BHCCでA/B/Cが91%(39/43)/9%(3/43)/0%,63%(261/415)/34%(141/415)/3%(13/415)でB-HCCのほうが肝機能が良かった.初発時のstage(I/II/III/IVa/IVb)はB-HCC(17/9/11/5/1)でNonB-HCCが(127/152/109/17/10)で,初回に根治治療(外科切除もしくはRFA)が行われた症例は77%(33/43)/62%(258/415)であった.3)B-HCCのうち,f/u群は67%(29/43)で,核酸アナログ製剤(NA)を内服していた症例も33%(14/29)に見られたが,NA内服者と非内服者の肝予備能,stage,生存期間に差は認めなかった.また発癌時のHBV DNA量は定量感度以下の症例が37%(16/43)であった.4)一方B-HCCの非f/u群のうち9例はHBV感染の指摘を受けており,HCC診断時にHBV感染が判明したのは3例にすぎなかった.しかし非f/u群はStageIII以上で診断されることが有意に多く(71%対24%,p=0.003),生存期間が短い傾向がみられた(p=0.08).【結論】B-HCCの多くは,HBV感染の指摘を受けており,f/uにより早期にHCCが診断されれば予後を改善できる可能性が示され,HBV感染者の啓蒙や経過観察の必要性が示された.またf/u例ではNAによりHBVDNAを抑制しても必ずしも発癌抑制には結びついておらず,今後のNAなど抗ウイルス療法の再検討と,発癌抑制の指標としてHBs抗原やHBcrAgなど指標を検討する必要があると考えられた.
索引用語