セッション情報 口演

肝癌6

タイトル O-177:

内科的治療により10年以上の長期生存を得られた肝細胞癌症例の検討

演者 日比野 千尋(大阪厚生年金病院消化器内科)
共同演者 加藤 幹那(大阪厚生年金病院消化器内科), 加藤 穣(大阪厚生年金病院消化器内科), 塩出 悠登(大阪厚生年金病院消化器内科), 村井 一裕(大阪厚生年金病院消化器内科), 甲斐 優吾(大阪厚生年金病院消化器内科), 城 尚志(大阪厚生年金病院消化器内科), 松村 有記(大阪厚生年金病院消化器内科), 武田 梨里(大阪厚生年金病院消化器内科), 森田 理恵(大阪厚生年金病院消化器内科), 北 久晃(大阪厚生年金病院消化器内科), 貫野 知代(大阪厚生年金病院消化器内科), 西塔 民子(大阪厚生年金病院消化器内科), 中田 悠紀(大阪厚生年金病院消化器内科), 千葉 三保(大阪厚生年金病院消化器内科), 前田 晃作(大阪厚生年金病院消化器内科), 内藤 雅文(大阪厚生年金病院消化器内科), 道田 知樹(大阪厚生年金病院消化器内科), 伊藤 敏文(大阪厚生年金病院消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌初発から内科的治療が選択され10年以上の長期生存が得られた症例の臨床的特徴について検討した.【方法】1995年以降に当院で初発肝細胞癌と診断し,初回治療として内科的治療が施行され,その後10年以上の生存を確認できた6例を対象に,背景因子・腫瘍因子・治療因子について検討した.【結果】生存期間は平均12年6カ月(10年2カ月‐17年8カ月)であった.背景因子)性別はすべて男性.初発時年齢は59.8±4.9歳であった.背景肝はB型肝硬変4例,C型肝硬変2例で,1例のみChild-Pugh分類B,5例はAであった.B型肝硬変症例はすべてHBe抗原陰性で,初発時ウイルス量は4.0logIU/ml未満2例,以上2例であった.腫瘍因子)初発時の腫瘍の個数・径は,5例は3cm・3個以内であったが,1例は左葉多発かつVp3症例で,Stage分類はII4例,III1例,IVa1例であった.治療因子)初回治療の内訳は,TACE1例,TACE+PMCT1例,TACE+PEIT1例,RFA2例,TAI(low dose FP)1例であった.6例とも10年以内に再発が見られ,無再発期間7年5カ月の長期症例が1例あったが,他は3年以内に再発しており,無再発生存期間は平均で28.5カ月であった.治療回数は8.3±1.9回(4-10回)で,現在6例中,生存4例,死亡2例,ともに他病死であった.B型肝硬変4症例に対して全例に核酸アナログ投与が行われ,C型肝硬変症例については,1例でIFN-α少量長期投与が行われていた.初発時から現在まで,1例は血小板・予備能低下を認めたが,5例は予備能低下を認めなかった.【結論】当院で経験された10年以上の長期生存6例は,1例を除きChild-Pugh分類:Aの予備能良好症例であり,5例に抗ウイルス療法が施行されていた.治療経過中に肝予備能を低下させないことが長期生存にかかわる重要な因子である可能性が示唆された.
索引用語