セッション情報 | 口演肝癌6 |
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タイトル | O-179:当院における80歳以上高齢者肝細胞癌の背景および予後についての検討 |
演者 | 橋口 正史(霧島市立医師会医療センター肝臓内科) |
共同演者 | 山崎 成博(霧島市立医師会医療センター肝臓内科), 長谷川 将(霧島市立医師会医療センター肝臓内科), 藤崎 邦夫(霧島市立医師会医療センター肝臓内科), 小田 耕平(鹿児島大学消化器内科), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器内科), 桶谷 眞(鹿児島大学消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器内科) |
抄録 | 【目的】肝炎患者の高齢化と治療の進歩により,肝発癌年齢が上昇し高齢者肝癌に対する治療機会が増えてきている.今回我々は,80歳以上で発癌した患者の背景や予後について検討した.【対象と方法】2001年6月から2012年5月末までに,当院で初発肝細胞癌と診断した症例のうち,80歳以上で無治療の20例をA群,80歳以上で治療を行った49例をB群,80歳未満で治療を行った278例をC群とし,背景や予後について比較検討した.【結果】A群の無治療の理由は,治療の希望なし:9例,全身状態や基礎疾患のため:9例,肝予備能不良のため:1例,認知症のため:1例であった.死亡原因は,B群とC群では80%以上が肝臓関連死であったのに対して,A群では肝臓関連死は54%であった.背景因子について,A群とB群の比較では差はみられず,B群とC群の比較では,B群は有意に腫瘍径が大きく(p=0.01),T-Bilが低く(p=0.002),ALTが低く(p=0.003),血小板数が多く(p=0.005),治療法はIVRが多く選択されていた(p<0.0001).予後に関しては,A群の生存率は65/39%(1/3年)で,B群の生存率86/61/28/22%(1/3/5/7年)に比し予後は不良であった(p=0.006).B群とC群の生存率85/61/42/26%(1/3/5/7年)に差はみられなかった(p=0.595).肝臓関連死をエンドポイントとしてA群とB群の生存率を比較すると両群に有意差はみられなかったが,最長生存者はA群が3.6年であったのに対してB群では9.3年であり,B群では5年以上の生存が6例(12%)であった.【結語】80歳以上の高齢者肝細胞癌患者は,肝機能は良好ながら腫瘍径が大きく,主にIVR治療が選択され,肝癌治療後の予後は80歳未満の患者と差はなかった.80歳以上の肝細胞癌患者においても,治療により予後の改善が期待できるため,患者の治療に対する忍容性や判断能力があり全身状態が保たれていれば,治療を検討するべきであると考えた. |
索引用語 |