セッション情報 口演

肝癌7

タイトル O-181:

肝細胞癌診断におけるNX-PVKA-Rの有用性と位置付け

演者 玉野 正也(獨協医科大学越谷病院消化器内科)
共同演者 國吉 徹(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 鈴木 一義(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 香川 景政(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 高田 洋(獨協医科大学越谷病院消化器内科), 鈴木 壱知(獨協医科大学越谷病院消化器内科)
抄録 【目的】PIVKA-IIは肝細胞癌(HCC)に対する特異性が高いが,Vitamin K欠乏状態から偽陽性を呈する.従来,HCCの診断にはGla基の少ないPIVKA-IIとの反応性が高いモノクローナル抗体(MU-3抗体)が用いられているが,一方でGla基の多いPIVKA-IIと反応性が高いモノクローナル抗体(P-11抗体,P-16抗体)が開発され,これらを用いて測定したPIVKA-II(NX-PVKA)と従来型PIVKA-IIの比(NX-PVKA-R)を用いることでHCCの診断能が改善することが期待される.今回は,NX-PVKA-Rの肝細胞癌診断における有用性について,従来型PIVKA-IIおよびAFP,AFP L3分画と比較検討した.【方法】2011年3月から2012年8月までに文書にて同意を得られた慢性肝疾患415例を対象とした.HCC合併症例は113例であった.ワーファリン服用例は14例であり,全例がHCC非合併例であった.PIVKA-IIおよびNX-PVKAはECLIA法により測定し,PIVKA-II/NX-PVKAをNX-PVKA-Rとした.NX-PVKA-Rのcut off値はreceiver operating characteristic(ROC)曲線から算出した.従来型PIVKA-IIは40mAU/ml,AFPは10ng/ml,AFP L3分画は15%をそれぞれのcut off値として検討を行った.【結果】ROC曲線から算出したNX-PVKA-Rの最適cut off値は1.3であり,感度64.0%,特異度85.9%,正診率80.1%であった.HCC非合併ワーファリン服用例14例はいずれも従来型PIVKA-IIは陽性であったがNX-PVKA-Rは全例で陰性を呈した.一方で,HCC非合併におけるNX-PVKA-Rの偽陽性は32例に認めたが,これらのうちの28例は従来型PIVKA-IIが40mAU/ml未満であった.他のマーカーの感度,特異度,正診率はそれぞれ,従来型PIVKA-IIは78.9%,84.0%,82.7%,AFPは81.4%,70.2%,72.3%,AFP L3分画は48.2%,98.6%,78.7%であった.【結論】NX-PVKA-Rはワーファリン内服などによるVitamin K欠乏状態における従来型PIVKA-IIの偽陽性を振り分けるためには有用であるものの,ルーチン検査で従来型PIVKA-IIに代われるものではないと考えられた.
索引用語