セッション情報 口演

肝癌7

タイトル O-183:

進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与後早期の発熱と画像上の阻血性変化との関係

演者 葛谷 貞二(名古屋大学消化器内科)
共同演者 片野 義明(名古屋大学消化器内科), 今井 則博(名古屋大学消化器内科), 阿知波 宏一(名古屋大学消化器内科), 荒川 恭宏(名古屋大学消化器内科), 山田 恵一(名古屋大学消化器内科), 中野 聡(名古屋大学消化器内科), 増田 寛子(名古屋大学消化器内科), 石津 洋二(名古屋大学消化器内科), 本多 隆(名古屋大学消化器内科), 林 和彦(名古屋大学消化器内科), 石上 雅敏(名古屋大学消化器内科), 石川 哲也(名古屋大学消化器内科), 後藤 秀実(名古屋大学消化器内科)
抄録 【目的】進行肝細胞癌(HCC)に対するソラフェニブ投与後には,手足症候群をはじめ様々な有害事象が生じ,ソラフェニブの減量・休薬・中止を余儀なくされる場合がある.今回,われわれはソラフェニブ投与後早期にみられる発熱に着目し,発熱した症例の頻度,背景因子,有害事象および画像上の阻血性変化との関係について検討した.【方法】ソラフェニブを導入した73例のうち,治療開始直前,2週間後,6週間後に造影CTを撮像した55例を対象とした.治療開始6週間以内に38度以上の発熱を認めた場合を発熱ありとした.【成績】平均年齢は67.8歳,HCCのStageはStage3が24例,Stage4aが17例,Stage4bが14例であった.最大腫瘍径は5cm未満が33例,5cm以上が22例であった.また脈管浸潤ありが24例,なしが31例であった.発熱が見られた症例は18例(32.7%)であった.発熱した症例は最大腫瘍径5cm未満が8例(24.2%)に対して,5cm以上が12例(54.5%)であり,有意に5cm以上で発熱が多かった(P=0.0098).6週間後の画像にて阻血性変化(腫瘍濃染の消失)を認められた29例のうち,14例(48.3%)に発熱が見られた.一方,阻血性変化が認められなかった症例26例中,発熱が見られたのは4例(15.4%)であり,有意に阻血性変化が認められた症例で発熱が多かった(P=0.0016).脈管浸潤の有無,Stageおよび手足症候群の有無と発熱との関係には,いずれも有意差は認めなかった.【結語】ソラフェニブ投与後にみられる発熱は,画像による阻血性変化(抗腫瘍効果)との関連が示唆された.ソラフェニブ投与後に発熱が見られた場合は,画像検査を行い抗腫瘍効果によるものかどうかの判定を行うことが重要であると考えられた.
索引用語