セッション情報 口演

肝 基礎1

タイトル O-185:

RFAを施行した肝細胞癌合併C型肝硬変症例における宿主免疫学的検討

演者 金川 武徳(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
共同演者 永井 英成(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 小林 康次郎(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 松野 高久(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 松井 太吾(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 松清 靖(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 向津 隆規(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 高山 竜司(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 松井 哲平(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 金山 政洋(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 高橋 正義(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 和久井 紀貴(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 籾山 浩一(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 篠原 美絵(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 池原 孝(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 渡邉 学(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 石井 耕司(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 五十嵐 良典(東邦大学医療センター大森病院消化器内科), 住野 泰清(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
抄録 【背景】我々は宿主側免疫学的背景において,Th2分画の増加によるTh1分画優位の状態の欠落は,HCCの発癌または癌化にとって重要な変化である可能性を報告した(Cancer Chemother Pharmacol 2008 62:401-6).しかしながら,発癌がTh2分画の増加を誘導するのか,それともTh2分画の増加が発癌を誘導するのかは,未だ検討の余地が残されている.【目的】C型肝硬変(CLC)に合併した早期肝細胞癌(HCC)に対してRFAを行い,Th1/Th2バランスを検討することにより,Th1/Th2バランスの崩れと発癌の関係を明確にする.【対象】2008年から2012年までに当院でRFAを施行された早期HCC合併CLC患者(HCC群)15症例,肝生検による病理学的診断を受けたC型慢性肝炎患者(CCH)27症例を対象とした.【方法】CCH症例は肝生検を施行し,その結果からF因子に従ってF1,F2およびF4群へ分類した.HCC群はRFAを施行し,施行前と施行4週後の早朝空腹時に採血した.末梢血中CD4陽性Tリンパ球中サイトカイン分析を行い,IFN-γ陽性,IL-4陰性(Th1),IFN-γ陰性,IL-4陽性(Th2),CD25陽性,CD127陰性(Treg)に分画した.【成績】CCH症例の内訳は,F1群13例,F2群9例,そしてF4群7例.Th1分画では,F1群に対してすべての群で有意差を認めなかったが,Th2分画では,HCC群はRFA前後共にF1群に比し有意な高値を認めた.またTreg分画では,HCC群はF1群に比しRFA前に有意な高値を認めたが,RFA後は有意差を認めなかった.【結語】早期HCC合併CLC症例に対するRFA前後の宿主側免疫学的検討において,HCCを消失させることによってTregは改善させることができるが,Th2分画優位な状況はHCCの消失後も改善することはなく,Th2分画の増加によるTh1分画優位の状態の欠落がHCCの発癌に重要である可能性が示唆された.
索引用語