セッション情報 口演

肝 基礎1

タイトル O-186:

CD14+HLA-DR-/lowMDSCが肝細胞癌患者の予後へ与える影響

演者 在原 文教(金沢大学附属病院消化器内科)
共同演者 水腰 英四郎(金沢大学附属病院消化器内科), 北原 征明(金沢大学附属病院消化器内科), 砂子阪 肇(金沢大学附属病院消化器内科), 荒井 邦明(金沢大学附属病院消化器内科), 山下 竜也(金沢大学附属病院消化器内科), 金子 周一(金沢大学附属病院消化器内科)
抄録 【目的】Myeloid-derived suppressor cell(MDSC)は幼若な骨随由来細胞であり,T細胞とNK細胞機能に対して強力な阻害活性を有する.近年CD14+HLA-DR-/low MDSCが肝細胞癌患者で増加し,抗腫瘍免疫の抑制に関与していることが報告されている.今回我々は肝細胞癌患者におけるMDSCの動態と予後に与える影響につき検討を行なった.【方法】肝細胞癌患者123例,慢性肝疾患非癌患者30例,健常人13例の末梢血単核球を分離し,FlowcytometryにてCD14+HLA-DR-/low MDSCを測定した.また血清中の種々のサイトカインをBio-Plexサスペンションアレイシステム(Bio-Rad社)にて測定した.【結果】CD14+HLA-DR-/lowMDSCは肝細胞癌患者で有意に増加し,肝細胞癌の臨床病期と正相関していた(CD14+HLA-DR-/lowMDSC/CD14+cells;stage III and IV:22.3%(n=46)vs. stage I and II:17.0%(n=77),p<0.01).一方,肝生検における肝線維化および炎症gradeとMDSC数には関連がみられなかった.血清サイトカインではIL-10,IL-13,VEGFがMDSC増加と有意に相関していた.また33例の根治的ラジオ波焼灼療法を施行した症例においては治療後にMDSC数は有意に減少していた(治療前18.0%,治療後15.5%,p<0.05).さらに治療後のMDSC数は独立した再発予後危険因子であった.【結論】CD14+HLA-DR-/lowMDSCは肝細胞癌の進行に伴い増加し,ラジオ波焼灼療法後のMDSC数は再発予後と密接に関連していた.治療後のMDSCが高値の患者においては再発に対して厳重な経過観察が必要と考えられ,MDSCの抑制が患者予後の改善に寄与する可能性が示唆された.
索引用語