セッション情報 | 口演肝 基礎1 |
---|---|
タイトル | O-187:新たな肝癌予後予測因子Wee1 kinase発現に寄与する因子の同定 |
演者 | 小木曽 智美(東京女子医科大学消化器内科) |
共同演者 | 橋本 悦子(東京女子医科大学消化器内科), 長原 光(東京女子医科大学付属青山病院), 千嶋 さやか(東京女子医科大学消化器内科), 児玉 和久(東京女子医科大学消化器内科), 戸張 真紀(東京女子医科大学消化器内科), 松下 典子(東京女子医科大学消化器内科), 谷合 麻紀子(東京女子医科大学消化器内科), 鳥居 信之(東京女子医科大学消化器内科), 徳重 克年(東京女子医科大学消化器内科), 白鳥 敬子(東京女子医科大学消化器内科), 山本 雅一(東京女子医科大学消化器外科) |
抄録 | 【目的】Wee1 kinaseはG2/M期を制御する因子で,肝癌の新たな予後予測因子となることを報告してきた.今回我々は,Wee1発現に与える因子を統計学的に検討した.【対象】対象は当院で肝癌を切除した26症例.Wee1発現を病理組織学的に確認し,臨床背景,血液検査,肝癌の特徴を比較し,Wee1発現に与える因子を単変量及び多変量解析にて検討した.その結果に基づき,肝癌細胞株HuH7にエストラジオール0,100,200,500,1000nM添加48時間後に細胞を回収し,Wee1発現の変化を細胞膜透過処理後,特異抗体を反応させ,flow cytometerで検討した.【結果】Wee1陽性肝癌は26例中8例(30.8%)で,うち男性は3例で,平均年齢は62.5歳.一方Wee1陰性肝癌では,男性が14例で平均年齢は66.3歳であった.血液検査所見では,Wee1陽性肝癌症例で血清アルブミン(ALB)・プロトロンビン時間(PT)が保持された(p<0.05).腫瘍径や形状では有意差を認めなかった.単変量解析では,オッズ比は,性別5.9(95%信頼区間0.004~0.676),無再発期間50(0.187~0.764),ALB 500(0.139~0.743),PT 50(0.034~0.692)であった.また,多変量解析では,女性,ALB,PTが独立した危険因子として抽出され,それぞれオッズ比2245,158,1.6と特に性別がWee1発現に影響を及ぼした.性別を除いた多変量解析では,ALBがオッズ比3230となり,Wee1発現に影響する因子として抽出された.この結果に基づいて,HuH7細胞にエストラジオールを添加したものの,Wee1発現に有意差は認めなかった.【結論】Wee1陽性肝癌は比較的良好な肝機能を持つ女性に多いことが示された.しかし,In vitroの研究ではホルモン添加によるWee1発現に有意差は認めず,女性肝癌におけるWee1発現増強の機構解析には,女性ホルモン以外の要因をさらに検討する必要があると考えられた. |
索引用語 |