セッション情報 口演

肝 基礎1

タイトル O-188:

肝内胆管癌におけるNogo-B発現とその臨床像

演者 荒井 淳一(長崎大学腫瘍外科学)
共同演者 七島 篤志(長崎大学腫瘍外科学), 岩切 泰子(Yake大学消化器病肝臓センター), 畑地 豪(長崎大学腫瘍外科学), 阿保 貴章(長崎大学腫瘍外科学), 永安 武(長崎大学腫瘍外科学)
抄録 【背景】肝内胆管癌は予後不良な腫瘍で,その悪性化の病態解明は未だ不明な点も多い.Nogo-B(Reticulon 4B)は,小胞体に存在する55kDaの蛋白質で,肝臓では非実質細胞に特異的に発現しておりNogo-B欠損は肝硬変や門脈圧亢進の進行にかかわる.一方でグリソン内の微細胆管の増殖に関わっている事がIwakiriらによって報告されている.胆管細胞増殖に関与する新しい分子生物学的マーカーの,肝内胆管がんの悪性度への関与について解析を行った.【方法】Yale大学ならびに産業医科大学より提供されたNogo-B抗体(Rabbit polyclonal to Nogo B receptor Ab)を用いて,2000―2009年までの肝内胆管がん症例の切除標本の免疫染色を行って,臨床病理学的ならびに予後に関する解析を行った.陽性コントロールはグリソン内細胆管とした.染色結果を陰性,弱陽性(10-50%発現),強陽性(>50%発現)とした.【結果】Nogo-B陽性率の平均は36%で,陰性15例(44%),弱陽性6例(18%),強陽性13例(38%)であった.Nogo-Bは胆管内発育型は陰性,腫瘤形成型で11/14例(79%),胆管浸潤型で7/18例(39%)と腫瘤形成型で発現が増加していた(p=0.044).年齢,性別,血清腫瘍マーカー,組織学的分化度,腫瘍個数,腫瘍径,リンパ節転移,浸潤形式,TNM分類および進行程度などとは関連がなかった.肝線維化の程度とNogo-Bは逆相関の傾向にあった(p=0.18).CD34,PCNA因子とは相関はなかった.術後の再発の有無,再発形式とは関連がなかったが,生存解析ではNogo-B陽性省令の生存期間中央値98カ月,弱陽性56カ月,陰性38カ月と強陽性省令で予後が良い傾向にあった(p=0.10).無再発生存期間では差はなかった.【結語】Nogo-Bの役割は未だ不明な点が多いが,正常胆管の増生の機序と癌での発現には解離が認められ,Nogo-Bの発現は肝内胆管がんの予後良好なマーカーであった.この乖離にはNogo-Bの野生型,変異型の違いが関与する可能性もあり,基礎研究でのさらなる機序解明が必要と考える.
索引用語