セッション情報 口演

小腸 悪性リンパ腫

タイトル O-189:

当院で最近5年間に経験した消化管リンパ腫の臨床病理学的検討

演者 黒田 裕行(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科)
共同演者 在原 洋平(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科), 定免 渉(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科), 山田 充子(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科), 安部 智之(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科), 櫻井 環(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科), 藤井 重之(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科), 前田 征洋(製鉄記念室蘭病院消化器・血液腫瘍内科), 藤田 美悧(製鉄記念室蘭病院病理臨床検査室), 平子 匡(札幌医科大学第四内科)
抄録 【目的】当科における消化管リンパ腫の内視鏡所見・生存率・手術例・二次発癌の臨床像と組織型・予後因子の病理像を検討した.【対象】2007年1月から2012年6月までに当科で診断加療した消化管リンパ腫29例(原発16例,他部位原発の消化管浸潤13例).【結果】年齢中央値は69歳(36-89歳),男女比15:14,胃12例・十二指腸6例・空腸6例・回腸10例・結腸直腸5例であった(複数部位症例6例).肉眼型は潰瘍形成型15例・隆起型7例・MLP5例・びまん浸潤型1例・混在型1例であった.病理組織型はDLBCL15例・FL7例・MALT4例・MCL1例・HL1例・ATLL1例であった.消化管原発はLugano分類に基づく臨床病期はI期10例・II期3例・IIE期2例・IV期1例であり,消化管浸潤例はAnn Arbor分類IV期13例であった.29例中27例に治療を施行したが,化学療法20例・放射線治療9例・手術5例・H.pylori除菌が3例・自家末梢血幹細胞移植1例であった.19例においてCRが得られ,15例が2012年9月まで無再発生存中である.消化管原発リンパ腫の5生率は84.8%,浸潤例は49.2%で,MALT以外のリンパ腫は60.6%であった(MALTは全例生存).潰瘍・隆起型はKi-67高値であり,MLP・びまん浸潤型でKi-67は低かった.また,Ki-67高値群とp53陽性群は有意に予後不良であった.穿孔や腸閉塞などの合併症のため手術を要したのは,小腸病変を有する症例の46.2%と多く,潰瘍・隆起型でDLBCL・Ki-67高値が多い傾向にあった.なお,胃原発リンパ腫化学放射線療法後に食道癌・胃癌の併発例を認めた.【結語】DLBCLなど高悪性度リンパ腫は潰瘍・隆起型を呈することが多くKi-67高値で,FLなど低悪性度リンパ腫はMLP・びまん浸潤型が多くKi-67が低かった.小腸病変を有する場合は手術となる頻度が高いため,病変部位の把握のため積極的に小腸検査を施行すべきであり,CR後も定期的な内視鏡検査を要する.
索引用語