セッション情報 口演

小腸 悪性リンパ腫

タイトル O-190:

内視鏡検査にて診断された小腸原発悪性リンパ腫の検討

演者 川野 誠司(岡山大学病院光学医療診療部)
共同演者 岡田 裕之(岡山大学病院光学医療診療部), 井口 俊博(岡山大学病院消化器内科), 秋田 光洋(岡山大学病院消化器内科), 喜多 雅英(岡山大学病院消化器内科), 原田 馨太(岡山大学病院光学医療診療部), 平岡 佐規子(岡山大学病院消化器内科), 那須 淳一郎(岡山大学病院消化器内科), 河原 祥朗(岡山大学病院光学医療診療部), 吉野 正(岡山大学腫瘍病理), 山本 和秀(岡山大学病院消化器内科)
抄録 【背景】小腸原発悪性リンパ腫は全節外性リンパ腫でも約10%程度と比較的まれな疾患とされている.一方でダブルバルーン内視鏡(DBE)やカプセル内視鏡(CE)の登場により小腸病変の検索が比較的容易になったことから当院でも小腸原発の悪性リンパ腫を多く経験するようになった.【目的】内視鏡検査にて診断された小腸原発悪性リンパ腫の臨床像を明らかとし,予後に関わる因子について検討すること.【対象】当院にてDBEが導入された2007年1月以降において経験した小腸原発悪性リンパ腫16例.症例の内訳:年齢は18~85歳(中央値59歳),男性13例,女性3例.DBE13例,CE7件(重複あり)に施行され,DBE非施行例3例はCSにて終末回腸に所見を認め,CEにて全小腸を検索していた.【結果】(1)肉眼型:隆起型5例,単発潰瘍3例,多発潰瘍8例(2)組織型:B細胞由来11例,T細胞由来5例.全例でDBEないしCS時の生検にて診断されていた.(3)臨床病期:Lugano分類2-2まで7例,2E以上9例(4)治療法:手術先行後化学療法施行7例,化学療法先行9例(5)穿孔:化学療法後に3例で認め,全例緊急手術となった.(6)消化管出血:6例で認め,うち2例にDBEにて止血術をおこなった.(7)転帰:生存例11例(平均観察期間32.8か月)に対し,死亡例を5例認め,全例1年以内に死亡していた.全16症例の転帰に関わる因子について残る6項目との関連性について検討したところ,消化管出血症例(p=0.019)と穿孔症例(p=0.038)において有意に死亡率が高い結果であった.【結語】小腸原発悪性リンパ腫の診断において内視鏡検査は病変の分布や組織学的な検討を可能とすることに加え,出血時の止血処置も可能であり極めて有用である.一方で穿孔例や出血例においては予後不良なものが多く,これらを早期にまた適切に診断することが予後改善につながることが示唆された.
索引用語