セッション情報 口演

小腸 悪性リンパ腫

タイトル O-191:

小腸腫瘍の診断過程と超音波内視鏡検査の有用性についての検討

演者 迎 美幸(北里大学東病院消化器内科)
共同演者 小林 清典(北里大学東病院消化器内科), 小川 大志(北里大学東病院消化器内科), 横山 薫(北里大学東病院消化器内科), 佐田 美和(北里大学東病院消化器内科), 小泉 和三郎(北里大学東病院消化器内科), 佐藤 武郎(北里大学東病院外科), 三枝 信(北里大学東病院病理)
抄録 【目的】小腸腫瘍の診断過程や内視鏡検査の役割,超音波内視鏡(EUS)の有用性を明らかにする.【方法】当院で内視鏡観察を行い,内視鏡下生検や外科手術により病理組織診断を得た小腸腫瘍50例を対象とした.平均年齢は62.3±14.3歳,性別は男性29例,女性21例.小腸腫瘍の内訳は,悪性リンパ腫(ML)20例,癌11例,GIST(筋原性腫瘍を含む)9例,脂肪腫3例などであった.小腸腫瘍の診断過程や生検診断率について検討した.またEUS診断を併用した20例では,各腫瘍のEUS所見の特徴についても検討した.【成績】1)小腸腫瘍は臨床症状を呈してから診断される場合が多く,有症状例は癌91%,GIST78%,ML75%であった.癌は腸閉塞症状,GISTは黒色便,MLは腹痛などが高頻度であった.GISTの平均Hb値は7.3±1.7g/dlで,他の腫瘍と比較し有意に低値であった.2)小腸腫瘍の存在部位は,GISTの全例と癌の91%は十二指腸や空腸,MLの70%は回腸であった.3)小腸腫瘍の診断過程は,回腸MLの1例がカプセル内視鏡で発見された他は,X線造影や腹部CTで存在診断後に,バルーン内視鏡などの内視鏡検査で確認していた.生検診断陽性率はML95%,癌91%,GIST67%であった.4)EUS施行例のうち,MLの多くは全層性に浸潤し内部エコーは低~等エコーで均一,GISTは第4層を主座とし低エコーで不均一,癌は全層性に浸潤し低エコーで均一な腫瘤像として描出された.5)過誤腫の2例と脂肪腫の1例は内視鏡的摘除が可能であった.ML12例と癌およびGISTの各1例に化学療法を施行した他は外科手術を行った.【結論】小腸腫瘍に対して放射線検査は存在診断,内視鏡検査は確定診断に有用で,とくに悪性リンパ腫や癌の生検診断率は高かった.さらに超音波内視鏡検査もGISTなどの質的診断に有用であった.
索引用語