セッション情報 | 口演小腸 病態 |
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タイトル | O-192:尿酸の腸管排泄低下は高尿酸血症の主要な新規機序である |
演者 | 市田 公美(東京薬科大学薬学部病態生理学教室) |
共同演者 | 松尾 洋孝(防衛医大分子生体制御学), 高田 龍平(東大病院薬剤部), 中山 昌喜(防衛医大分子生体制御学), 清水 徹(みどりヶ丘病院), 春日 裕志(東大病院薬剤部), 中島 宏(防衛医大衛生学公衆衛生学), 中村 好宏(防衛医大数学), 高田 雄三(防衛医大共同利用研究施設), 河村 優輔(防衛医大分子生体制御学), 内海 由貴(防衛医大分子生体制御学), 中村 真希子(東京薬科大学薬学部病態生理学教室), 櫻井 裕(防衛医大衛生学公衆衛生学), 細谷 龍男(慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科), 四ノ宮 成祥(防衛医大分子生体制御学), 鈴木 洋史(東大病院薬剤部) |
抄録 | 我々は以前,ABCG2遺伝子が尿酸排泄輸送体をコードする痛風・高尿酸血症の主要な原因遺伝子であることを報告した.高尿酸血症は,従来その原因により「腎臓の尿酸排泄低下」と「尿酸産生過剰」,その混合型に分類されてきた.今回我々は,高尿酸血症の主要な病態のひとつが,ABCG2遺伝子変異に起因する腸管からの尿酸排泄低下であることを見出した.日本人男性の高尿酸血症患者644人の解析では,予想に反しABCG2遺伝子変異があると,腎臓からの尿酸排泄量は増加していた.高尿酸血症患者全体の76%にABCG2の機能低下を認め,それに伴って従来の病型分類における「産生過剰」の発症リスクが最大2.3倍高くなることが判明した.Abcg2ノックアウトマウスでも同様,血清尿酸値・尿酸の腎排泄が増加する一方,腸管からの尿酸排泄は低下していた.以上より,ABCG2遺伝子変異により,腸管の尿酸排泄が低下,血清尿酸値は上昇,その結果腎臓からの尿酸排泄量が増加するという新しいメカニズムが示唆された.腸管でのABCG2発現レベルの高さと合わせ,これは今まで無視しがちであった腸管からの尿酸排泄の重要性が示された.我々は高尿酸血症の主要な原因として,主に腸管排泄低下に起因する「腎外排泄低下型」高尿酸血症という概念を新たに提唱する.また,「(従来の)産生過剰型」を「腎負荷型」と呼称し,これが「腎外排泄低下型」と「(真の)産生過剰型」の二つのサブタイプから構成されることを提唱している.上記の知見により,高尿酸血症の新規予防法や治療薬の開発が期待される. |
索引用語 |