セッション情報 口演

小腸 病態

タイトル O-193:

NSAID内服患者の小腸粘膜傷害と小腸細菌過増殖症との関連について

演者 村木 基子(大阪市立大学消化器内科学)
共同演者 藤原 靖弘(大阪市立大学消化器内科学), 町田 浩久(大阪市立大学消化器内科学), 山上 博一(大阪市立大学消化器内科学), 谷川 徹也(大阪市立大学消化器内科学), 斯波 将次(大阪市立大学消化器内科学), 渡辺 憲治(大阪市立大学消化器内科学), 富永 和作(大阪市立大学消化器内科学), 渡辺 俊雄(大阪市立大学消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科学)
抄録 【背景と目的】NSAID起因性小腸粘膜傷害の発生機序には,COX阻害によるPG低下,小腸上皮への直接傷害作用,胆汁,腸内細菌叢の関与などが報告されている.小腸細菌過増殖症(Small intestinal bacterial overgrowth,SIBO)は近位小腸内細菌数が105cfu/ml以上増殖した状態であり,過敏性腸症候群との関連が指摘されている.しかしながら,SIBOとNSAID起因性小腸粘膜傷害との関連は不明である.NSAID長期内服患者において小腸粘膜傷害の有無とSIBOとの関連について検討した.【方法】心血管障害や慢性関節リウマチなどの併存疾患のため3カ月以上NSAIDsを内服している患者36人を対象にカプセル内視鏡とラクツロース負荷水素呼気試験(LHBT)を施行した.LHBTは絶食後ラクツロースを服用し,15分ごとに180分まで終末呼気を採取し,呼気中に含まれる水素ガスを測定した.SIBOは基礎値よりも水素ガス濃度が20 ppm以上上昇した症例と定義した.【結果】カプセル内視鏡により,びらん・潰瘍などの小腸粘膜傷害は25人(69%)に認めた.小腸粘膜傷害有無別では,年齢,性別,BMI,NSAID種類,PPI内服率などに有意差は認めなかった.LHBT陽性は粘膜傷害を有する25人中12人(48%),粘膜傷害を有さない11人中2人(18%)に認め,粘膜傷害を有する症例の方にSIBOが多い傾向を認めた(OR=5.48,P=0.07).LHBT陽性群と陰性群では腹痛や膨満感などの症状や小腸粘膜障害の重症度,局在について有意差を認めなかった.【結語】NSAID内服患者の小腸粘膜傷害と小腸細菌過増殖症とは関連する可能性が示唆された.
索引用語