セッション情報 口演

小腸 病態

タイトル O-195:

aspirin腸管上皮細胞傷害におけるMDR-1の関与

演者 久貝 宗弘(京都府立医科大学消化器内科)
共同演者 内山 和彦(京都府立医科大学消化器内科), 鈴木 健太郎(京都府立医科大学消化器内科), 堀江 秀樹(京都府立医科大学消化器内科), 稲田 裕(京都府立医科大学消化器内科), 福田 亘(京都府立医科大学消化器内科), 飯田 貴弥(京都府立医科大学消化器内科), 上原 有紀子(京都府立医科大学消化器内科), 辻 俊史(京都府立医科大学消化器内科), 寄木 浩行(京都府立医科大学消化器内科), 堀江 隆介(京都府立医科大学消化器内科), 井上 健(京都府立医科大学消化器内科), 水島 かつら(京都府立医科大学消化器内科), 堅田 和弘(京都府立医科大学消化器内科), 高木 智久(京都府立医科大学消化器内科), 半田 修(京都府立医科大学消化器内科), 古倉 聡(京都府立医科大学消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科)
抄録 【目的】MDR-1蛋白は細胞膜表面に存在し,ATPを用いて細胞内の異物を基質として細胞外に輸出するトランスポーターである.近年,NSAIDや低用量aspirinの消化管粘膜傷害が臨床上問題になってきており,さらにNSAIDsがMDR-1遺伝子発現を誘導していることも報告されている.しかし,NSAIDsやaspirinの腸管上皮細胞傷害とMDR-1の関連に関しては今までに報告はない.そこで本検討では,aspirinで誘導される腸管上皮細胞傷害に対するMDR-1の関与を,培養細胞を用いて検討した.【方法】ヒト腸管上皮細胞株Caco-2細胞に対し,MDR-1の阻害剤であるverapamilを前投与し,aspirin(0,5,10,20mM)投与24時間後における細胞活性をWST-8 assayを用いて検討した.また,MDR-1遺伝子をクローニングしたpcDNA 3.0ベクターをCaco-2細胞に遺伝子導入し,G418にてselectionをおこなった恒常的MDR-1過剰発現Caco-2細胞に対しても同様のaspirin刺激をおこない,細胞活性を検討した.また機能解析として膜透過性実験を行った.【結果】verapamilを前投与したCaco-2細胞群は非投与群に比べてaspirin投与24時間後の細胞活性は有意に低下していた.またMDR-1過剰発現Caco-2細胞はコントロール細胞と比べてaspirin投与24時間後の細胞活性は有意に高い値であった.膜透過性についてはアスピリンがMDR1の基質であることが示唆される結果となった.【結語】aspirin誘導性腸管上皮細胞傷害は,Caco-2におけるMDR-1を阻害すると増悪し,MDR-1過剰発現にて軽減し,MDR-1がaspirinによる腸管上皮細胞傷害の病態に関与していることが示唆される結果であった.
索引用語