セッション情報 口演

NAFLD

タイトル O-196:

大学生における肝せん断弾性波伝搬速度と生活習慣病リスク因子との関連

演者 西瀬 雄子(山形大学消化器内科学)
共同演者 冨樫 整(山形大学保健管理センター), 勝見 智人(山形大学消化器内科学), 冨田 恭子(山形大学消化器内科学), 佐藤 智佳子(山形大学消化器内科学), 芳賀 弘明(山形大学消化器内科学), 石井 里佳(山形大学消化器内科学), 奥本 和夫(山形大学消化器内科学), 渡辺 久剛(山形大学消化器内科学), 齋藤 貴史(山形大学消化器内科学), 上野 義之(山形大学消化器内科学)
抄録 【目的】健診受診者における脂肪性肝疾患は増加傾向にあり,特に30~40歳代男性では約25%を占めるまでに増加している.若年者の脂肪性肝疾患の現状およびリスクを評価することは将来の脂肪性疾患を推計し対策を立てる上で有用と考えられる.本研究は,大学生における,せん断弾性波の肝内伝搬速度(Vs)を測定し,脂肪肝および糖代謝異常などの生活習慣病との関連を検討することを目的とした.【方法】A大学の学生261人(男性160人,女性101人,年齢:中央値20歳,範囲18-31歳)を対象として,ACUSON S2000(Simens Medical Solutions USA, Inc.)を使用し,Acoustic Radiation Force Impulseにより発生させたせん断弾性波の肝内伝搬速度(Vs)を測定した.また,腹部超音波検査Bモードで脂肪肝の有無を判定した.さらに,BMI,腹囲,HOMA-IR,血糖値,AST,ALT,中性脂肪,HCLコレステロール,LDLコレステロールを測定し,伝搬速度との関連を検討した.【結果】超音波検査で脂肪肝のない群(n=163)では平均Vs=1.18±0.09,軽度度脂肪肝(n=74)では平均Vs=1.07±0.11,中等度脂肪肝(n=24)では平均Vs=1.02±0.12であった(p<0.001).VsはBMI,腹囲,血糖値,HOMA-IR,ALT,中性脂肪,LDLコレステロールと負の相関を示し,HDLコレステロールと有意な正の相関を示した.重回帰分析の結果,脂肪肝,BMI,血糖値,HOMA-IR,中性脂肪は独立したリスク因子であった.【結論】大学生において,脂肪肝の有無にかかわらず,糖代謝異常,脂質代謝異常,高血圧は,伝播速度低下の独立した関連因子であることが示された.伝播速度低下は20歳前後の若年者の生活習慣病リスク因子を把握するために有用となる可能性が示唆された.
索引用語