セッション情報 口演

NAFLD

タイトル O-197:

尿酸はNAFLDの発症と進展に関する危険因子である

演者 柴田 道彦(産業医科大学第3内科)
共同演者 日浦 政明(産業医科大学第3内科), 鬼塚 良(産業医科大学第3内科), 千手 倫夫(産業医科大学第3内科), 松橋 亨(産業医科大学第3内科), 阿部 慎太郎(産業医科大学第3内科), 原田 大(産業医科大学第3内科)
抄録 【目的】代謝異常症の一つである高尿酸血症がNAFLDの形成およびALT上昇に対する危険因子であることを明らかにする.【方法】企業Aの人間ドックデータベースから,アルコール摂取量が20g/日未満で基礎疾患を有さない男性を抽出して以下の研究を行った.〔研究1〕脂肪肝を有さない者を尿酸値が6.1 mg/dl未満のA群,それ以上のB群に分類し,経年的に脂肪肝の発症率を比較検討した.〔研究2〕脂肪肝を有しALTが30 IU/l以下である者を尿酸値が6.1 mg/dl未満のC群,それ以上のD群に分類し,経年的にALT上昇(60 IU/l以上)の発症率を比較検討した.なお脂肪肝の有無は腹部USで,統計処理は2群間の比較を独立t検定,発症率の比較をカプラン・マイヤー法,Cox比例ハザード法で行った.【結果】〔研究1〕平均観察期間は5.2年で,A群2007人,B群1503人であった.観察開始時の各因子の比較では,年齢が46.8歳vs 46.7歳で差はなかったが,BMI(22.1 vs 22.8 kg/m2),血圧(117/72 vs 121/76 mmHg),中性脂肪(104 vs 128 mg/dl),ALT(22.0 vs 24.8 IU/l)等に有意差を認めた.脂肪肝発症率は,カプラン・マイヤー法でB群が有意に高く(p<0.01),Cox比例ハザード法ではハザード比が1.555(95%信頼区間1.354-1.787)で,年齢・BMIで調整しても1.348(95%信頼区間1.173-1.550)であった.〔研究2〕平均観察期間は4.0年で,C群460人,D群536人であった.観察開始時の各因子の比較では,年齢(47.9 vs 46.6歳),BMI(24.2 vs 24.8 kg/m2),空腹時血糖(103 vs 98 mg/dl),中性脂肪(144 vs 169 mg/dl)等に有意差を認めた.ALT上昇の発症率は,カプラン・マイヤー法でD群が有意に高く(p=0.016),Cox比例ハザード法ではハザード比が1.994(95%信頼区間1.128-3.526)で,年齢・BMIで調整しても1.980(95%信頼区間1.108-3.540)で有意に高率あった.【結論】尿酸は,NAFLDの形成だけでなく,ALT上昇(肝炎発症)の危険因子でもあり,高尿酸血症に対する治療がこれらを抑制する可能性が期待される.
索引用語